[ ロボット ]
(2017/9/17 12:30)
米グーグルが2009年から15年までの間、自動運転車の研究開発に投じた資金は11億ドル(約1200億円)以上だったー。グーグル親会社傘下で自動運転車を開発するウェイモが、配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズを相手取って起こした訴訟の中で、こうした事実が明るみになった。
グーグルはこれまで、光ファイバーでのインターネットサービスや生命科学プロジェクトなど、他の「ムーンショットプログラム」(月面に人類を送り込むような困難かつ壮大な計画)と一緒にした形で研究開発費用を公表。自動運転車個別の研究開発投資額は企業秘密として明らかにしてこなかった。今回、訴訟でのウェイモ側の証言で、被害額算定に関わる推定コストとして数字が公開された。
対象とされるのは、グーグルが09年にスタートし、15年に終了した「プロジェクト・ショーファー」(ショーファーは「お抱え運転手」)と呼ばれたプロジェクト。その後、ウェイモが16年12月に設立され、グーグルの自動運転プロジェクトを引き継いでいる。
自動運転がらみで言えば、3月に米インテルがビジョンシステムを手がけるイスラエルのモービルアイを153億ドルで買収した例や、今回の訴訟の遠因ともなったウーバーによる6億8000万ドルでのオットー買収に比べ、11億ドルという研究開発投資はそれほど大きい額ではないように見える。ただ、グーグルの場合、買収よりも自動運転のソフトウエアおよびハードウエアについて社内開発費という点が大きく異なる。
一方、ウェイモとウーバーの訴訟では、幹部エンジニアとしてグーグルのプロジェクト・ショーファーを率いたアンソニー・レバンドウスキー氏が技術の盗用を行なったかが争われている。同氏はもともと米国防高等研究計画局(DARPA)による自動運転車コンペ「DARPAグランドチャレンジ」で注目され、07年にグーグルに入社。2016年1月に退社し、トラック向けの自動運転技術開発を行うスタートアップのオットーを他の創業者とともにサンフランシスコに設立した。
オットーは同年8月、自動運転車の開発に力を入れるウーバーに早くも買収。かたやウェイモは、レバンドウスキー氏が自動運転車でセンシングの中核技術である光レーダースキャナー(ライダー)に関する技術や特許を盗みウーバーに持ち込んだとして、17年2月に機密盗用でウーバーを提訴。裁判でレバンドウスキー氏は黙秘権を行使して証言に応じず、調査にも非協力的だとして5月にウーバーを解雇されている。
(2017/9/17 12:30)