[ オピニオン ]
(2017/9/29 05:00)
全国労働衛生週間が10月1日に始まる。大手広告会社の違法残業事件をはじめ、過剰労働による過労死や自殺が社会問題となっている。防止策を社内で総点検する一方、働き方改革実行計画で求められた「治療と仕事の両立」支援に向けた取り組みに力を入れたい。
厚生労働省によると、成人のうち糖尿病を持つ人は2016年時点で過去最多の約1000万人。継続的に治療を受けている高血圧性疾患の患者も約1010万人に上っている。
実際、日本の労働人口の約3人に1人は何らかの疾病を抱えながら働いているという。高血圧は337万人、糖尿病149万人、アレルギー109万人と続き、仕事をしながらがんで通院する人も約30万人に上る。
治療技術が進歩して生存率が高まり、“不治の病”から“長く付き合う病”に変化したためであろう。ただ、がんの場合、勤務を継続する人が48%なのに対し、約34%が離職する。糖尿病患者の約8%が通院を中断、その理由として「仕事が忙しい」が最多の24%に占める。
病気を理由に仕事を辞めざるを得ない人や、仕事を続けていても職場の理解が乏しく、治療と仕事の両立が困難な状況にある人は多い。このため同省は今春、両立支援のための指針を策定し、企業への周知を進めている。
指針では、両立支援のための企業内ルールの策定・周知や、相談窓口・情報の取り扱い方法の明確化などが必要と指摘。時間単位の年次有給休暇、病気休暇、在宅勤務(テレワーク)などの制度を導入し、主治医や産業医らと連携して両立支援計画や職場復帰支援計画などを策定することが望ましいという。
厚労省の外郭団体である中央労働災害防止協会は「経営トップ自らがリーダーシップを発揮して取り組むことが最も重要だ」と指摘する。
衛生週間ではこのほか、メンタルヘルス対策のためのストレスチェック制度や、化学物質による健康障害対策制度などを総点検する。働き方改革で健康職場をつくってもらいたい。
(2017/9/29 05:00)