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[ エレクトロニクス ]
(2017/9/29 05:00)
東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却手続きが、ようやく節目を迎えた。28日、米ファンドのベインキャピタルが主導する「日米韓連合」と株式譲渡契約を結んだ。ただ同日、ベインが設定した会見は、連合メンバーの合意が得られなかったとして急遽(きゅうきょ)中止になった。船頭多くして船山に登る―。無事に売却を完了できるのか、迅速な経営判断を下していけるか、懸念が広がる。
28日夕方、ベインが東芝メモリ買収について都内で会見を開くという案内を出した。予定時刻から10分弱遅れ、ベイン日本法人代表の杉本勇次氏が切り出した。「会見を中止したい」。会場の記者からどよめきが起きた。
杉本氏によると、日米韓連合として会見を開くには全メンバーの同意が必要になるが、「コミュニケーション不足で同意を得られなかった」という。2兆円という巨額買収の会見が中止になるのは異例中の異例だ。
東芝や経済産業省は、東芝メモリの一連の売却で、日本勢が経営を主導する体制をどう確立するかに腐心した。日米韓連合による買収スキームでは東芝、HOYAの日本勢が議決権の過半を握る形に仕上げた。また韓国SKハイニックスが議決権の15%超を保有できないように縛りをかけた。
一方、2兆円の資金を確保するため、アップルなど米企業4社が連合に入り、利害関係の調整の難しさは増した。28日の会見中止はそのことを浮き彫りにした。記者からは「本当に契約できたのか」「今後、契約内容が変わるのではないか」との指摘が飛んだ。
半導体業界の中でも特にメモリーは需要変動が激しい。生産量や設備投資で機動的な経営判断を下せるかが勝負を分ける。杉本氏は「ビジネスの方向性は一致している」と強調したが、会見さえ満足に開けないほど足並みが乱れていては、戦う土俵にも立てない。
(後藤信之)
(2017/9/29 05:00)
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