[ 政治・経済 ]
(2017/10/3 05:00)
【バルセロナ=時事】スペイン東部カタルーニャ自治州の独立の是非を問う1日の住民投票は、プチデモン自治州政府首相が率いる独立賛成派の圧勝で幕を閉じた。ただ、投票は非合法だと批判してきた中央政府は「投票は存在しなかった」(ラホイ首相)と結果を無視する構え。独立派はさらに不満を強めるとみられ、事態沈静化の妙案は見当たらない状況だ。
◇投票阻止で独立派増加?
自治州政府の集計によると、賛成派の得票は90%に達し、2014年11月に実施された非公式な独立住民投票での8割を上回った。中央政府は今回、独立に反対する姿勢を断固として打ち出すため、投票所に警官隊を突入させて実力で阻止を試みた。こうした強気の姿勢が裏目に出て、逆に独立派を増やしてしまった可能性が指摘される。
中央政府の方針が事前に伝えられると、投票する権利を求める人々は、あらかじめ投票所に忍び込んで占拠するなど対抗手段をエスカレートさせた。かつてフランコ独裁政権から迫害を受けた父を持つ弁護士のヌリア・テリバスさん(52)は「要求すれば圧力を加えてくる政権の体質は民主化後も変わっていない」と語り、投票を強引に抑え込めば反発が増すだけだと憤る。
◇EUに加盟できず
半面、独立がすんなり実現する可能性は低い。賛成派はスペインから独立後も欧州連合(EU)に残留したい意向だが、EU側からは再加盟の申請手続きを要求される公算が大きい。認められるには全加盟国の同意が必要なため、独立の過程で対立したスペインが反対すれば阻止される。反対派の人々は、数年間にわたってEUに加盟できない状態が続く事態を懸念している。
独立後も通貨ユーロの使用が認められるか不透明なほか、国境をまたぐ投資や貿易に不都合が出ないかも気掛かりだ。独立賛成派の手法が強引だとして投票を棄権した反対派の教師マヌエル・パラさん(55)は「独立の影響は経済や文化、スポーツなど多くの分野に及び、双方に大きなダメージを与える」と予想する。
◇親戚が外国人に
独立の賛否をめぐって住民間の亀裂が深まる中、独立を通じて身近な人との絆が引き裂かれると心配する人も少なくない。数年前にバルセロナ近郊に引っ越してきた独立反対派の大学講師女性(35)には、隣の州に住む母方の親族がいる。投票所で賛成派が気勢を上げる様子を眺めながら「家族同様に仲良くしてきた親戚と外国人同士になってしまうのは耐えられない」と表情を曇らせた。
(2017/10/3 05:00)
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