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[ 科学技術・大学 ]
(2017/10/11 05:00)
神戸大学、月桂冠、産業技術総合研究所の研究グループは、2種類の遺伝子組み換えこうじ菌を使い、安価な原料から高価な機能性オリゴ糖を高効率生産することに成功した。こうじ菌の酵素生産性を高め、培養上澄みを混ぜて使う。試薬価格が1グラム当たり30万円のオリゴ糖「イソプリメベロース」が、同1000円程度と約300分の1のコストでつくれる。栄養補助食品の実用化や、機能性の研究推進が期待される。
今回使った原料「キシログルカン」は、植物由来の多糖で1キログラム約1000円と安く、食品の増粘剤に広く使われている。イソプリメベロースは腸内乳酸菌を増やす効果は確認されていたが、実用化には価格が高かった。
キシログルカンは単糖のグルコース、キシロース、ガラクトースがつながっている。産総研はセルロース分解酵素(セルラーゼ)のうち一般的な酵素2種類と、ガラクトース部分を切る特殊な酵素「IPase(アイピーエース)」を合わせると、生成物ができると以前に解明していた。しかしアイピーエースは酵母菌で生産しており、効率が悪かった。
今回、神戸大は月桂冠の日本酒醸造に使う黄こうじ菌を遺伝子組み換えし、2種類の酵素を持つこうじ菌とアイピーエースを持つこうじ菌を生成。これらの培養上澄みと、キシログルカンを加え、効率よくイソプリメベロースを生成できた。
研究は、神戸大大学院科学技術イノベーション研究科の近藤昭彦教授、若井暁特命准教授らが、文部科学省の先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラムで取り組んだ。今後、月桂冠によるイソプリメベロースの機能性食品への応用や、同グループによる同手法の技術移転を検討する。
(2017/10/11 05:00)