[ 人物 ]
(2017/10/16 05:00)
発明に触れる楽しさ
理化学研究所(理研)から転じ、2014年に任期付職員(特許審査官補)として特許庁に入庁した農学博士の伊佐地公美(34)さん。審査第三部に所属し、農薬など有機化学分野の審査を担当する。「法律用語を覚えるのはとても大変でしたが、専門性を生かせる仕事。常に新しい発明に触れられ、文献を読むのも楽しい」。業務、待遇、休暇制度などは通常の職員と同じ。「個人で時間を組み立てられ、女性が働きやすい職場です」と充実した日々を送る。
知財アドバイザー目指す
2011年に名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程を修了し、理化学研究所(理研)に就職しました。製薬会社を目指したのですが縁がなく、理研の単年度契約のテクニカルスタッフとして3年半勤めました。任期付き審査官の募集を見て、知的財産の世界に入りました。
有機化学担当は約40人。約半分が女性です。家庭の都合に合わせて仕事でき、働きやすい職場です。
特許審査がどのような仕事かまったく分かりませんでしたが、未経験者でも研修でたたき込んでもらえます。約2カ月にわたって毎週試験があり、落とせないという重圧の中、腱鞘(けんしょう)炎になるくらい勉強したことが印象に残っています。
たくさんの文献を読み、論理的に考える仕事は楽しいですが、責任は重大です。必要以上に広い範囲に特許を与えると他者が不利益を被る。競争が激しい分野ほど慎重な判断を迫られます。10年の任期を終えたら弁理士の資格が取れるので、企業などの知財アドバイザーになりたい。審査官の意図をくみ、出願人の立場で働けたら良いですね。
デスクワークで運動量が落ちたこともあり、週1回テニススクールに通い、休日は主人とスケートボードを楽しんでいます。趣味はカラオケ。自宅でも歌ったり、漫画を読んだりして気分転換しています。
(文=編集委員・鈴木真央、写真=森住貴弘)
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◇特許庁 審査第三部 農学博士
(2017/10/16 05:00)