[ オピニオン ]
(2017/10/16 05:00)
日本と中国がともに政治の季節を迎えている。日本は22日投開票の総選挙に向け、選挙カーが慌ただしく走り回る。中国は5年に1度の最重要会議、第19回共産党大会が18日に開幕する。
党大会では、最高指導部である政治局常務委員7人の人事が話題を集める。習近平総書記と李克強首相は留任が固まり、残り5人の人選が焦点だ。この中から2022年の次期党大会で決まる“ポスト習近平”候補が登場する見通しだ。
民主国家ではない中国では、どのような顔ぶれになるかは闇の中に包まれている。人選の過程を、同じ秘密主義であるローマ法王を決める選挙「コンクラーベ」に例える人もいる。
富士通総研主席研究員の柯隆(かりゅう)さんは「法王の選挙より、日本の社長人事に似ている」と指摘する。法王は本人が死去してから決めるため、本人に後継者指名権はない。だが社長人事は会長や相談役ら社長経験者の発言権が強いという。中国でも胡錦濤前総書記や江沢民元総書記の意向が意外に無視できないそうだ。
もっとも、日本の総選挙は民主的に決まる。柯さんはこうも語る。「独裁国家は指導者の資質が問われる。民主国家は国民の資質が問われる」。有権者は緊張感を持って投票に臨みたい。
(2017/10/16 05:00)