[ オピニオン ]
(2017/10/26 05:00)
涼風の日本とは打って変わり、10月でも40度C近くになるアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビ。しかし、この地で開かれた技能五輪国際大会の選手を苦しめたのは気温ではなかった。
競技初日というのに規定寸法の材料が届かない。いざ始まると会場の電源が落ちる。相次ぐ運営側の不手際のために、22時間かかるハードな競技を3日間で終える過大な負担を強いられた種目も。
関係者が「過去に例がない大会」と非難の声をあげる一方で、選手は「臨機応変に対応したい」と冷静に、黙々と競技に打ち込んだ。大会は2年ごとだが、規定により選手は2度は出場できない。一生に1度のチャンスという緊張感。勝者の隣で、がっくりと肩を落とす選手のほほを熱いものが伝わる。
全日程を終えて日本勢は金メダル3個。国別では9位と、前回の3位から後退した。金15個の中国が初のトップ。企業主体で参加する日本と違い、若い時から国が選手を育成する仕組みが有利に働く。
次回大会はロシアのカザン。その次は中国・上海。日本は6年後の2023年大会の誘致を表明した。灼熱(しゃくねつ)の国を離れても、選手が競技に傾ける情熱は変わるまい。万全の運営で、若き匠たちを迎えてほしい。
(2017/10/26 05:00)