[ オピニオン ]
(2017/11/2 05:00)
第4次安倍晋三内閣が取り組むべきは、経済政策「アベノミクス」の実効性を高めることである。首相の指導力があらためて問われる。
総選挙と首相指名の洗礼を経たとはいえ、新内閣は8月に発足したばかりの改造内閣を受け継いだものだ。閣僚を短命に終わらせなかったことを“やる気”と受けとめたい。
首相が政権に返り咲いてから12月で満5年。内政・外交とも成果を上げている。経済政策については国内総生産や雇用統計などの改善が進み、株価もこれを裏付けるように高水準にある。産業界は、その点を高く評価している。
ただ、これが日本経済の地力を強めた結果とは考えにくい。毎年の補正予算に加え、日銀の異次元の金融緩和が経済を支えている。財政出動も金融緩和も、過去に蓄積した国富を取り崩している状況に他ならない。デフレ脱却と、経済の自律成長への道は険しい。
第2次、第3次と安倍内閣は国民から強固な政権基盤を与えられた。安定政権を長期に継続しながら、まだ日本再興の出口が見えないことは残念だ。
第4次内閣は、先の総選挙で首相が公約した「人づくり改革」に取り組む。教育の無償化はじめ、子育て世代への支援は大いに意味がある。しかし、これが経済発展に結びつくのは相当に先になるだろう。
短期的には、企業の内部留保を原資とした賃金引き上げが議論されている。高収益の一部大企業を別にして、依然として経営が楽でない中小企業が大半を占めることを考えれば、経済成長の答えをすべて賃上げに求めるのは正しくない。
重要なのは、社会のイノベーションを巻き起こし、企業活動を活発にすることである。それが首相の提唱する日本再興のあるべき姿ではないか。
経済政策が富の再分配にとどまるようではいけない。大胆な規制改革や民間への市場開放によって新たな産業を興してほしい。第4次安倍内閣が、アベノミクスの実効性を高めることを期待する。
(2017/11/2 05:00)
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