[ オピニオン ]
(2017/11/16 05:00)
緩やかな景気回復が続いている。回復局面は「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さとなったもよう。企業業績は好調で雇用情勢も改善しているが、個人消費の伸びは低水準で消費者物価指数は目標の2%に遠く及ばない。政府は「生産性革命」などの成長戦略を推進し、デフレ脱却を急ぐべきだ。
内閣府が発表した2017年7―9月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、前期比年率1・4%増で、7四半期連続でプラスを記録した。8月の記録的な長雨や9月の相次ぐ台風上陸といった天候不順で、個人消費が7四半期ぶりに前期比マイナスとなったが、輸出の拡大により外需が2四半期ぶりに増加したため、プラス成長を維持した。
この先を展望すると、10月の天候不順が個人消費にマイナスに働いたとみられるほか、一部の自動車メーカーによる完成車の不正検査が新車販売の減少を招く可能性がある。しかし、円安に加えて海外経済が底堅く推移していることから、輸出は引き続き堅調で、景気は緩やかな回復を続けるものとみられる。
景気回復は長期化しているが、好景気の実感は乏しい。というのも、この間の潜在成長率は低く、雇用者報酬の伸びが低水準にとどまり、個人消費は力強さを欠いているためだ。この状況を克服するため、政府は成長戦略の柱に「生産性革命」を掲げ、企業の稼ぐ力を引き出し、賃金の上昇を通じてデフレ脱却を実現しようとしている。
具体的には、企業が人工知能(AI)、ロボット、医療分野などの情報技術(IT)への投資を進めやすくする施策を打ち出すことになろう。合わせて民間資金を最大限に引き出すには大胆な規制緩和も必要だ。
企業は政府による生産性革命の後押しを待たず、景気が回復局面にある今こそ、潤沢な内部留保を生かして新規投資を増やし、さらなる業績向上を図るべきだ。加えて賃上げを積極化して経済の好循環につなげてほしい。こうした企業活動がGDPを押し上げ、景気回復の長期化やデフレ脱却に貢献する。
(2017/11/16 05:00)
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