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[ 化学・金属・繊維 ]
(2017/11/20 05:00)
粘着層から基材除去成功
≪メカニカルファイバーテープ(メカニル疑似架橋)≫
【開発秘話】
「昔だったら、うまくいかなかった。今の日本にはいろいろな技術がそろっている。日本のモノづくりの強みだ」。共同技研化学の濱野尚吉社長は、こう言って「メカニカルファイバーテープ」の開発秘話を明かし始めた。それは約2年前、ある繊維商社の若い営業担当者に「手切れテープをもっと引っ張り力に対し、強くしたい」と相談したのがきっかけだった。
【十分な強度】
「これをどうぞ」。ある繊維片の粉末を手渡されたが、濱野社長は戸惑った。繊維は粘着剤の原料に入れると、雲や団子のように固まってしまうためだ。ところが、その繊維は液剤の中できれいに分散した。「おかしい。昔は固まったのに…」。それがメカニカルファイバーテープの商品化につながる。
同テープは、合成繊維(ファイバー)により、粘着剤の軟らかさと接着剤の硬さを両立しつつ、両面テープなどの粘着(接着)層から基材を除去することに成功したもの。アクリル系粘着剤の中に繊維を均等に分散させることで、それが疑似架橋の役割を果たし、十分な強度を実現。紙や不織布、樹脂フィルムなど強度を保持するための基材なしでも、両面テープとして利用できるようになった。
そもそも、繊維を入れれば強度を出せるという原理は誰もが知る公知の技術。ただ、「混ぜても雲や団子のように固まってしまうので、誰もやらなかった」(濱野社長)のが化学業界におけるこの数十年間の常識だった。ところが、全く別の業界でその分散剤が開発され、当たり前のように使われていた。それが和紙をつくる製紙業界だった。
【新市場開拓】
菓子折りの包み紙や書道の半紙といった特殊紙には、強度を出すために合成繊維が入っている。その紙をつくる際、パルプ内に繊維が均等に分散するよう繊維メーカーが分散剤を供給しているのだ。「商社の若い人が『今はそうしないと製紙会社が繊維を買ってくれないんですよ』と当たり前のように言うんだ。特別な技術でも何でもないんだよ」(同)。
この発見は繊維メーカーにとっても朗報で、化学業界という新市場の開拓にもつながった。濱野社長も「これで粘着剤が接着剤に近づけた。今度は粘着剤で接着剤を置き換えたい」と次を見据えている。
(川越支局長・大橋修)
(2017/11/20 05:00)
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