[ オピニオン ]
(2017/11/21 05:00)
全体に税負担増加の議論が目立っているが、景気の腰折れを招かない配慮が必要だ。
総選挙で中断していた与党の税制改正の議論が本格的にスタートした。例年と同様に、12月前半の大綱策定を目指す。
近年の税制改正は、2009年の税制関連法の付則104条に定めた「税制の抜本的な改革」を少しずつ進めてきた。自民党の宮沢洋一税制調査会会長は「(法人減税などの)改革は16年度までにほぼ答えを出し、17年から新しいステージに入った」と話す。
次の議論の中心は「所得税の見直し」という。基本的には比較的富裕な層の課税を増やす。同会長は「18年度は基礎控除の拡大と、給与所得控除・年金所得控除の縮小の議論に最も時間をかける」という。中堅以上のビジネスマンや厚生年金・企業年金を受給するリタイア層にとっては負担増になる懸念が大きいため、簡単に結論が出ないことも考えられる。
また個人の住民税の均等割に上乗せする形で森林環境税の導入を検討している。
一方、法人課税では事業承継税制の整備が中心的な課題になる。産業界は法人実効税率のさらなる引き下げを求めているが、議論の俎上(そじょう)に載せるのは難しい情勢。18年度は各種の租税特別措置の延長・拡充にとどまりそう。
こうした中で「隠れた主役」(経団連関係者)に浮上してきたのが、商業地などの固定資産税の負担調整の延長だ。固定資産税は地価の変化に連動するが、所有者の負担軽減のため6―7割水準に抑えている。ただ景気の回復傾向を受けて、税制当局は抑制幅の縮小を考えているという。
もし負担調整がなくなれば、都市部にオフィスや商業施設を持つ企業だけでなく、中小や個人の事業者に大きな影響が及ぶ。不動産業界首脳は「地価が上がったとしても、土地売却メリットを享受できる人はごくわずか。小規模事業者だと事業存続に直結する」と警鐘を鳴らす。こうした現場の声を、十分に税制大綱に反映してほしい。
(2017/11/21 05:00)
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