[ オピニオン ]
(2017/11/22 05:00)
自動車やロボットなどさまざまな製品がつながるIoT(モノのインターネット)普及に不可欠な「標準必須特許」について、特許庁はライセンス交渉の進め方やライセンス料の算定方法などを明記したガイドライン(指針)を来春に策定する。同特許を巡る紛争を防ぎ、産業界のイノベーション創出を促してほしい。
標準必須特許は、標準規格に準拠した製品を製造・販売する際に避けられない特許。特に情報通信分野は数百から数千に上り、多くは標準化団体が策定する。規格に採用された特許を持つ企業が他企業にライセンスする際、合理的な金額で平等に許諾する「FRAND条件」を宣言することを求めている。
だが現実は、他の企業に対して法外なライセンス料を請求する動きも顕在化している。一方で、特許実施者が権利者の交渉申し入れに応じない“技術のタダ乗り”問題も浮上している。
同特許を巡っては、米アップルと韓国サムスン電子がスマートフォン関連技術で争うなど注目されている。ただ、従来の紛争の大半は情報通信企業同士であり、クロスライセンスによる解決を見いだしやすかった。
しかしIoTの普及で様相が一変する。「異業種間の争いが大きな問題になり始めた」と特許庁幹部。最も注意を払うのが自動車業界だ。外部の社会やシステムとつながるコネクテッドカー(つながる車)や自動運転の実現には大量のセンサーや通信機器が欠かせない。
サプライヤーより高額なロイヤルティーを引き出せると踏んで、通信企業などが完成車メーカーに直接交渉を持ちかける動きも出ているという。
異業種間では双方のライセンス料の相場観が乖離するほか、クロスライセンスによる解決も難しい。業界の枠を超えて、同特許を適正価格で安心して使い合えるルール作りが必要だ。
国際的に交渉ルールの議論は緒についたばかり。欧州委員会も指針を策定中だ。世界の判例を整理し、知見を積み上げながら、実効性の高い指針を完成してほしい。
(2017/11/22 05:00)
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