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(2017/12/11 00:00)
スマートデバイスとクラウド利用のソリューション
日立システムズが販売する「CYDEEN(サイディーン)フィールド作業支援サービス」が各方面から注目されている。現場作業者が行う準備・実作業・報告など一連の作業をタブレット端末とクラウドの活用などにより効率化し、現場作業者の負荷を軽減できる。テレビ会議機能を使えば遠隔地にいる管理者から現場作業者に適切な指示を出すこともでき、双方の業務品質が向上する。
現場作業者と管理者の双方にメリット
ICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)の利用が進むなか、業務の重要性とは裏腹にデジタル化が遅れている分野も少なくない。ビルや工場、工事現場などで行う、設備機器の保守・点検業務がその1つ。現場作業者には作業と併せて報告書などの資料作成が求められるため負荷がかかり、管理者側も作業状況をリアルタイムで把握できないなどの問題があった。
こうしたなか、日立システムズが提供する「CYDEEN(サイディーン)フィールド作業支援サービス」が注目されている。現場作業者が行う準備・実作業・報告までの一連の業務をスマートデバイス(タブレット端末など)とクラウドを活用して支援するシステムで、現場作業者はタブレット端末に作業項目の結果を入力するだけで自動的に作業結果が報告されるため、作業負荷を大幅に軽減できる。テレビ会議機能(映像共有)を使って現場と事務所を結べば、管理者側から適切な指示を出すこともでき、作業と管理の品質が向上する。
作業状況の把握や技術伝承にも活用可能
「フィールド作業支援サービス」は2016年2月に発売以来、現在までに百数十件の引き合いが寄せられ、導入を決めた企業も多い。例えばあるビル設備の保守・点検会社では、従来は現場作業者が日々の点検結果を紙に記録していたが、「フィールド作業支援サービス」による業務のデジタル化によって資料の印刷、エビデンス写真の取り込み、報告書作成などにかかっていた手間が省けた。またデジタル化したことで、データ閲覧がしやすくなり、現場作業者の負担軽減、進捗管理がしやすくなった。
また、ある製造現場では、スマートデバイスの代わりにスマートグラス(眼鏡型のウエアラブル端末)を活用。現場作業者をハンズフリーにして作業に集中できるようにした。その場合でも、現場作業者目線の映像が遠隔地にいる管理者にリアルタイムに共有できるので、管理者は遠隔地から適切なアドバイスを送ることができ、熟練者が現地にいない場合でも作業が可能になった。さらに、熟練者の作業映像を記録しておくことで、若手技術者への技術伝承にも活用している。
このほか、リアルタイムに映像共有できる特性をいかし、海外拠点での作業トラブル対応にも役立てることも可能だ。さらに「フィールド作業支援サービス」は、標準化された作業指示コンテンツに従って作業を実施するため、作業の属人化を防ぐ。また、現場作業者のレベルに合わせてわかりやすい作業手順書を作成できる機能や、現場作業の進捗状況を自動で管理者に報告する機能がある。現場作業者の結果入力時間が自動記録されるので、作業手順の見直しなどの改善効果を定量的に確認できるなどの特徴もあり、これらの機能や特徴を上手に活用している企業もある。
広く産業分野に向け拡販
日立システムズでは、公共事業のライフサイクルをトータルにサポートする「CYDEEN(サイディーン)」というソリューションを提供している。その製品群は「計画/設計」「入札/契約」「維持管理」「工事施工」の4つの分野で構成されており、豊富な導入実績を持つ。
「『フィールド作業支援サービス』は、公共分野向けのサービスの1つとして開発されたものだが、保守・点検会社やメーカーなどからも引き合いが多く、広く産業分野に向けて拡販することにした」と社会情報サービス事業部社会システム第三本部第一システム部第三グループ主任技師の田中康規氏は話す。
「フィールド作業支援サービス」は日立システムズのデータセンターを経由するクラウド型の利用が基本だが、自社でサーバーを設置するオンプレミス型の利用も可能である。同社では、「フィールド作業支援サービス」を含むCYDEENの維持管理管理系製品を構造物・設備資産管理ソリューションとして、2018年度までに300億円の販売を目標にしている。
2017年12月13日から開催の「次世代都市開発EXPO(於:東京ビッグサイト)」に出展し、ヘッドマウントディスプレイによる遠隔作業支援機能を実演する予定。
(2017/12/11 00:00)