[ ロボット ]
(2017/11/28 05:00)
山形大学大学院理工学研究科の多田隈理一郎准教授と弘栄設備工業(山形市、船橋吾一社長、023・684・4151)は、下水管などに入り込み、内部を点検する毛虫型ロボットを開発した。身体の周囲の毛を振動させて進む。モーターなどの電機部品は身体の内部に密閉されているため、汚水に漬かっても壊れる心配がない。調査後は水で丸洗いできる。3年後をめどに実用化を目指す。
身体の周囲8方向に5本ずつ樹脂製の丈夫な毛を生やした。偏心モーターで身体を振動させると、毛が曲がっている方向に反力が働いて前進する。
前進速度は毎秒約5センチメートル。モジュールに分割し、10節を連結させて推進力を高めた。本体の直径は3センチメートルほどで、10節連結時の長さは59センチメートルと細長い。
さらに毛並みをねじるように配置した。モジュールごとにねじれ方向を右、左と交互に入れ替える。毛の弾性を工夫して、共振周波数によって振動の種類を変える。
高周波数では前進、低周波数では偏心モーターの回転方向によって左折と右折を選ぶことができる。
動力は偏心モーターだけで、各モジュールの内部に密閉した。防水しているため水洗いできる。また車輪のような機構がなく、下水などの浮遊物が絡まって動けなくなる心配が少ない。
現在は移動機構の試作機が完成した段階。これからカメラやセンサーを配置して配管内部のマッピング機能を搭載する。下水管など地下の配管は電波では通信できないため自動で管内を移動し、入り口に帰ってくる自律機能を開発する。
29日から東京・有明の東京ビッグサイトで開催する「2017国際ロボット展」に出展する。
(2017/11/28 05:00)