[ オピニオン ]
(2017/11/30 05:00)
生産性向上を目指し、産業用ロボットに人工知能(AI)化の波が押し寄せている。ただ、柔軟性に乏しい現状のロボットに不満を抱くユーザーも多い。ユーザーの抱える課題や不満を抽出し、困りごとを解決するAI化も必要ではないか。
現状のロボットに不満を抱く中小企業は意外に多い。ロボットを導入すると製造ラインが硬直化してしまい、生産品を変えづらくなるという声である。少しの変更にも追随できず、生産が軌道に乗るまで時間がかかるという。
大手重電メーカーの生産担当者からも同じような声を聞く。導入後に非効率な工程を見つけても、周辺装置を含めてラインを組んでいるため改善ができない。そこで事前に“無駄取り”を徹底してから、ロボット化しているという。
この担当者は、現場に対し自動化の狙いを明確にするよう促している。十分に検討しないままだと必要以上のロボットを設置してしまうためだ。1度ラインを組むと、過剰設備の解消は難しくなる。
AIがもたらす大きな変革は、学習するロボットの登場と言われている。現在は人間が作業を覚えさせている。“学ぶ”ロボットは、新しい工程に投入されても作業をこなす。蓄積データと画像データから自ら作業手順を決めるので、人が教える必要がない。
そこまでAI化が進化すると、中小企業の不満も解消されるかもしれない。自ら無駄な工程を見つけ、改善までしてくれるロボットなら、大手重電メーカーも迷わずに自動化できる。
ただ、AIが人間の能力を超えるシンギュラリティー(技術的特異点)はまだ先だ。しばらくは人とロボットの協調が続くというのが一般的な見方だ。
東京ビッグサイトで開催中の国際ロボット展では、メーカーは来場者に最新機種を提案するだけでなく、不満や課題を聞く場にしてはどうか。AIでまずは何をすべきか、顧客ニーズに気付くはずだ。それがビジネス機会の獲得にも、AIの進化にもつながるだろう。
(2017/11/30 05:00)
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