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[ 科学技術・大学 ]
(2017/12/7 05:00)
千葉工業大学惑星探査研究センターの黒沢耕介研究員と東京工業大学地球生命研究所の玄田英典特任准教授らは、天体衝突によって火星から放出された隕石(いんせき)が地球に到達した仕組みを解明した。火星の深い場所に位置する岩石が表面にある岩石を“ところてん式”に押し出し、隕石が放出されることを、シミュレーション解析で明らかにした。
火星の物質が30万―50万気圧の低衝撃圧でも火星を脱出できるために必要な条件を探索。天体衝突した際の火星付近の物質の流れを解析した。
高い衝撃圧を受けた深部の岩石が、火星表面付近にあって低衝撃圧しか受けていない岩石を押し出すことで、火星の重力を脱出できる速度まで加速する仕組みを発見した。火星隕石は30万―50万気圧の衝撃圧を受けていたことが岩石学的な分析で明らかになっている。一方、天体衝突時に火星の重力から離れて地球に飛来するには、50万気圧以上の強い衝撃波による加速が必要とする指摘もあり、隕石放出の仕組みは不明だった。
低衝撃圧力下での岩石中には微生物が生き残る可能性があり、地球外生命が地球に飛来したとする仮説の研究も進むかもしれない。
今後、千葉工大に設置した2段式水素ガス銃による衝突実験を行い、隕石の放出の仕組みを実証する。
成果は欧科学誌イカルス電子版に掲載された。
(2017/12/7 05:00)