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[ エレクトロニクス ]
(2017/12/12 14:30)
18年以降も、デバイス需要拡大続く
米SEMI(カリフォルニア州)は12日、2017年の半導体製造装置の世界販売額が前年比36.5%増の559億ドルとなり、過去最高を更新する見通しだと発表した。ITバブルだった00年に記録した477億ドルを初めて超える。世界の半導体市場が自動車やIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、医療などで拡大し、初めて4000億ドルを突破する見通しであることなどが背景。「17年は歴史的な1年になる。18年もたいへん見通しは明るい」と、ジョナサン・デービスSEMIアドボカシー担当国際副社長は、18年以降も堅調な成長を続けると予想する。
調査会社の米IC Insightsによると、17年の世界半導体市場は4360億ドルに達し、前年比20.0%増と大幅に伸びる見通し。従来のコンピューターや通信、民生機器といった半導体の主要需要先に加え、自動車やビッグデータなど新たな市場が急激に拡大しているためで、SEMIでは今後も半導体市場の成長は続き、30年には1兆ドルに達すると見通す。
世界でのデータ使用量が16年の16.1ゼタバイト(ゼタはギガの1兆倍)から25年には163ゼタバイトへと10年間で10倍に伸びるとの予想もある。そのため半導体製造装置市場の伸びも当面は止まる気配は見られない。
17年の半導体製造装置市場をもっともリードしたのは韓国市場。10月末時点ですでに140億ドルに達し、過去に米国が記録した129億ドル、台湾の122億ドルを超えて、国別では過去最大を記録。韓国サムスン電子がフラッシュメモリーやDRAM、ファウンドリー(受託生産)向けに半導体投資を活発化させているためで、最終的には前年比2.3倍の178.9億ドルに達する見通しだ。16年まで首位だった台湾市場も小幅ながら伸びており、2位の126.2億ドル。中国が75.9億ドルで3位に入った。
中国では米インテルや韓国・サムスン電子など外資系メーカーが17年の半導体投資の7割を占める。ただ18年には6割に下がり、中国メーカーも台頭してくる。中国市場の拡大とともに中国の半導体装置メーカーも伸びてはいるが「現状ではまだ小さいプレーヤーにすぎず、技術も遅れている」(デービス氏)。
伸び率では欧州が57.2%増、日本が29.9%増となり韓国に続いた。日本の17年市場は60.2億ドルで、ほぼ10年ぶりの高水準となり、18年も62.4億ドルへ伸びる見通し。東芝が日米韓連合に売却を決めた東芝メモリや、米マイクロン・テクノロジの広島工場の投資などがけん引する。日立ハイテクノロジーズの木村勝高執行役専務CTOは「日本の半導体産業は、メモリー、アナログ、センサー、マイコン、パワー半導体などIoT時代の成長分野において世界のトップを走っている。さらに製造装置や電子部品、材料などでの貢献も大きい」と日本企業の存在感に期待をかける。
「セミコンジャパン」、あす開幕
半導体製造装置の展示会「セミコンジャパン2017」が13日に開催するのを前にSEMIのアジット・マノチャ・プレジデント兼CEOが会見。「日本は製造装置メーカーで世界の3分の1、材料でも半分を占める。半導体産業が自動車やIoT、ヘルスケアへと広がる中、装置と材料は技術分野で融合が進んでいるが、これを土台として支えるところで日本に匹敵する国はない」と述べた。
セミコンジャパンは13年以降では最大となる1760小間で開催。7万人の来場者を見込む。SEMIジャパンの中村修代表は「今年は部品、材料ゾーンを新たに設けた。日本の強さをアピールしたい」と意気込む。また学生などへの教育を目的に、前工程から後工程までの一貫ラインを展示スペースに設置する。
(2017/12/12 14:30)