[ ICT ]
(2017/12/15 05:00)
2017年、一大ブームとなった人工知能(AI)は結局ビジネスにとって何なのか。インテルによると「AIはワークロード革命」だという。どういうことか。
AIがワークロード革命をもたらす理由
2017年の本連載も残り少なくなった。そこで、今年、一大ブームになったAIをビジネスの観点から俯瞰した記事をまとめたいと思っていたところ、AIに対応したプロセッサを手掛けるインテルが先頃、AIのビジネス活用をテーマにしたプレスセミナーを開いたので、その内容をお届けしたい。
説明に立ったインテルの根岸史季アジアパシフィック・ジャパン担当HPCディレクターによると、「AIはデータセントリックなワークロードの一環だ。膨大な量のデータからどうやって知見を見出すか。その知見を見出す作業をいかにシステマティックに自動化するか。AIはそのための技術でありツールであると捉えている」という。
そして同氏は、「膨大な量のデータに対して高度な分析を行うためにはAIが必要不可欠。私たちはAIこそがコンピューティングの次の大きな波になると見ており、一過性の動きに終わらせることなく積極的に投資を続けていきたい。なぜ、AIが次の大きな波になるのか。それは、AIがワークロード革命をもたらすと考えているからだ」と語った。【図1】
AIがワークロード革命をもたらすとは、いったいどういうことか。同氏の話をもとに説明すると、データから自動的に価値を見出すことができれば、ワークロードを持続的に増やすトリガーになる。なぜならば、メインフレームからダウンサイジングしたサーバになり、今やクラウドという形にユーザーへの提供形態が変化してきているコンピューティングの大きな流れの1つとして、ワークロードの自己再生や自律化、自動生成が可能になるからだ。
さらに、それらが実現すると、インフラとワークロードのバランスがとれるようになり、そこからも価値が持続的に生み出されていくとしている。
企業でのAI導入はまだ始まったばかり
このようにワークロード革命をもたらすAIは、当然ながらさまざまな業界を変革することになる。その例は【図2】の通りである。
とはいえ、根岸氏によると、「企業でのAI導入はまだ始まったばかり」という。その根拠の1つとして、フォレスターリサーチ社の最近のグローバルでの調査結果を挙げた。それによると、58%の企業がAIについて調査中と回答したものの、実際にAIシステムをすでに利用しているのは12%にとどまった。
ちなみに、同氏はAIと機械学習、そして今もっとも注目されているディープラーニング(深層学習)の位置付けを【図3】のように示した。分かりやすい図なので紹介しておきたい。
AIはワークロードの革命なので、さまざまなビジネスに変革をもたらすという根岸氏の説明には同感である。ただ、これから迎えるそのプロセスにおいてはさまざまな課題も出てくるだろう。今後はそうした課題と対処にもしっかりと目を向けていきたい。
(隔週金曜日に掲載)
【著者プロフィール】
松岡 功(まつおか・いさお)
フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアでコラムや解説記事を執筆中。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。危機管理コンサルティング会社が行うメディアトレーニングのアドバイザーも務める。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年生まれ、大阪府出身。
(2017/12/15 05:00)