[ 政治・経済 ]
(2017/12/19 15:30)
国連安保理決議否決、揺らぐ仲介役
【ワシントン時事】トランプ米政権は18日、エルサレムをイスラエルの首都と認めた米国の決定撤回を求めた国連安保理決議案に拒否権を発動した。採決結果は賛成14、反対1で、パレスチナ問題をめぐる米国の孤立がさらに浮き彫りになった。政権の目指す中東和平交渉の「公正な仲介役」の地位が大きく揺らいでいる。
ペンス副大統領が今月中旬にエジプト、イスラエル、パレスチナ自治区を訪問し、中東和平交渉再開の糸口を探る予定だったが、6日のトランプ大統領の「エルサレム首都」承認を受け、反発するパレスチナ側が会談を拒否。さらにホワイトハウスは18日、税制改革法案への対応を理由に歴訪日程を急きょ来年1月に延期すると発表した。
パレスチナ側は「和平交渉で米国の役割を認めない」(アッバス自治政府議長)と主張。国連総会での緊急会合要請や国際機関の加盟などを目指す方針を掲げ、米国の交渉仲介に背を向けている。トランプ氏の娘婿クシュナー大統領上級顧問が率いる和平交渉チームと今後接触するかどうかも不透明な状況だ。
歴代米政権は国連安保理でイスラエルに不利な決議案に反対してきた。オバマ前政権も2011年、ユダヤ人入植活動を非難する決議案に、政権初の拒否権を行使した。ただ、前政権は2度の交渉仲介に失敗した後、入植活動への批判を強め、16年12月に入植即時停止を求める決議案では棄権に転じ、決議成立を容認した。
だが、ヘイリー国連大使は18日、トランプ政権で初となる拒否権行使を正当化し、「(中東和平で)国連が有害無益だと示す新たな例だ」と強調。トランプ政権はイスラエル寄りの姿勢を強めている。
(2017/12/19 15:30)