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[ 科学技術・大学 ]
(2017/12/22 05:00)
東京大学地震研究所の竹内希准教授と神戸大学、海洋研究開発機構の研究グループは、海洋底の岩盤層「アセノスフェア」の柔らかさの“その場観測”に成功した。岩石の柔らかさの指標「地震波減衰特性」に着目し、岩盤層での減衰特性と地震波周波数の関係を解明した。地球観測データを室内での岩石実験と比較、解析できるようになる。地震や火山、造山運動といった地球表層現象を説明する「プレートテクトニクス」理論の解明につながると期待される。
地球表層の100キロメートル程度の範囲には、「リソスフェア(プレート)」と呼ばれる硬い岩盤層があり、その下に柔らかいアセノスフェアが広がる。
プレートテクトニクスは、リソスフェアがアセノスフェアの上を水平運動していると考えることで、地震や火山など現象を説明する。
アセノスフェアの柔らかさが水平運動に影響するとされているが、海底にあるアセノスフェア直接観測は困難で、その性質はよく分かっていなかった。
研究グループは、長期海底地震観測技術を開発し、アセノスフェアの物性の測定に成功。さらに、独自の地震波伝播(でんぱ)シミュレーション手法により、地震波の周波数に応じて、海洋リソスフェアとアセノスフェアの地震波減衰特性がどう変わるかを調べた。
周波数に対する岩石の減衰特性は実験室で計測できる。今回の成果で、岩石が柔らかくなる原因や条件を室内で確かめられる。
成果は22日、米科学誌サイエンスに掲載された。
(2017/12/22 05:00)