[ 政治・経済 ]
(2017/12/22 11:00)
政府は22日、一般会計総額が97兆7128億円に達した2018年度政府予算案を閣議決定した。総額は6年連続で過去最大を更新。少子高齢化により増え続ける社会保障関係費と、北朝鮮情勢を見据えた防衛関係費が過去最大を更新した。一方、税収はバブル期の91年度以来の高水準となる59兆790億円を見込み、新規国債発行額が8年連続で減額する。財政健全化に一定の配慮を示したが、歳出抑制より税収に依存した健全化は危うさが残る。
政策経費である一般歳出は17年度当初予算比5367億円増の58兆8958億円で、うち社会保障関係費は同4997億円増の32兆9732億円と増加幅を財政健全化目標の5000億円内にとどめた。国債費も低金利を背景に同2265億円減の23兆3020億円に減らした。
一方、税収は世界経済の拡大や円安を背景に91年度以来27年ぶりの高水準を見込み、新規国債発行額は同6776億円減の33兆6922億円に減額した。
政府は財政健全化に一定の配慮を示したが、その足取りは鈍い。社会保障関係費で焦点だった診療報酬の改定は、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が2%半ば以上のマイナスを求めたのに対し、日本医師会に配慮してマイナス0・9%にとどまった。防衛関係費も同660億円増の5兆1911億円と過去最大を更新し、会計総額を押し上げた。
また政府は政権の看板政策である人づくり革命と生産性革命に手厚く予算措置した。人づくり革命では11万人分の保育所などの運営費1152億円、保育所などの施設整備費888億円を計上。生産性革命では中小企業の設備投資を促進する施策に162億円、円滑な事業承継を促す措置に21億円を予算措置。また第4次産業革命の実現に向けた高効率・高速処理AI(人工知能)チップの産学官連携での研究開発に100億円、三大都市圏環状道路の整備加速に2283億円をそれぞれ予算計上した。
政府は18年1月22日召集予定の通常国会に予算案を提出し、年度内の成立を目指す。
(2017/12/22 11:00)