[ オピニオン ]
(2017/12/25 05:00)
一般会計の税収が59兆790億円と、過去3番目の規模を見込むことが予算案の最大の特徴だ。歩みは遅いが、日本経済が少しずつ力をつけていることの現れとして受け止めたい。
2018年度政府予算案は「人づくり革命」「生産性革命」を重点政策に掲げ、子育て世帯の負担軽減や、産業界が提唱する将来ビジョン「ソサエティー5・0」の実現などを打ち出した。ただ同時に策定した17年度補正で手当てしたものも多い。
主要経費別の内訳を見ると、経済協力費や中小企業対策費、エネルギー対策費などは軒並み前年度当初予算比マイナス。自然増が主要因である社会保障関係費1・5%は同プラスだが、薬価の引き下げで伸びを圧縮するなど、当局が厳しく査定したことがうかがえる。
そうした中で、防衛関係費が同1・3%増と大きな伸びを示したことには注意が必要だ。今後は、防衛費が日本の科学技術や産業育成に使われているかどうかを、これまで以上に監視する必要が生じよう。
予算の全体像に戻れば、歳入のうち借金に頼る割合を示す公債依存度は同0・8ポイント減の34・5%まで圧縮した。これはリーマン・ショック前の07年度予算の31・0%には及ばないものの低下傾向にある。
日本の財政は、01年から06年まで5年間にわたる小泉純一郎政権下で大きく改善した。公債依存度31・0%は、この長期政権の成果だ。その後のリーマン・ショックで再び大幅に悪化。安倍晋三政権下で、ゆっくりと回復している。だが、その速度は前例に比べて極めて遅い。経済政策「アベノミクス」の方向性は正しいが、十分な効果をあげていないためだ。
長期安定政権が一貫した政策を続けることが経済の持続的発展につながり、結果的に税収を増やす。産業界は、この流れを歓迎している。しかし同じ産業界の中からも日本再興戦略の遅れに対する批判が聞かれる。年明け以降、政府が予算を早期に成立させ、生産性革命などの政策を着実に進めることで財政再建に近づきたい。
(2017/12/25 05:00)
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