[ オピニオン ]
(2017/12/22 05:00)
昨年末に安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領による首脳会談が行われた長門湯本温泉(山口県長門市)で、温泉街を活性化する事業プランを公募、担い手となってもらうプロジェクトが進んでいる。地方の温泉地は宿泊客減少や後継者不足に悩むケースが多く外部の力を活用した取り組みに期待したい。
「事業者オーディション」は山口フィナンシャルグループの子会社が企画した。広島、山口、福岡3県から伝統工芸品や菓子製造業者ら8人が応募し、参加。地域再生や町おこしに関する専門家と議論しながら、3日間の合宿形式で事業プランをブラッシュアップした。
最終発表は2018年2月、星野リゾート(長野県軽井沢町)の星野佳路代表らを迎えて実施する。同社は19年に湯本温泉で宿泊施設を開業する予定で、星野代表は「萩や出雲など近辺の周遊ルートを確立して東京や大阪、さらには海外からも人を呼ぶ」と意気込む。
環境省によると、15年度現在で宿泊施設のある温泉地は全国3084カ所。だが交通の便が悪い地方が多く、観光の多様化や事業承継の遅れから廃業に追い込まれる施設が増えているという。
長門湯本温泉もその一つだ。150年の歴史を誇る老舗ホテルが14年に破たんしたのを機に、アクセスの悪さや個人・海外旅行客の受け入れ態勢不備などの課題が顕在化した。長門市内の宿泊客数も05年の61万人をピークに16年は49万人まで減少しており、核となる同温泉の再生は市にとっても危急の課題である。
温泉客はかつての団体から個人に大きくシフトした。大都市からのアクセスが悪く、周辺に目立った観光地が少ない地方温泉は、集客に苦慮し、設備の老朽化を手当てできずに、地域全体が衰退していくという負の連鎖に陥っている。
長門湯本温泉の活性化も厳しい道のりが予想される。だが、外部の新しい血と地元の後継者たちが参加した取り組みは期待が持てる。挑戦者たちの熱意を応援したい。
(2017/12/22 05:00)
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