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[ 商社・流通・サービス ]
(2017/12/27 20:30)
運行停止、判断基準あいまい
JR西日本の新幹線「のぞみ34号」(N700系)の台車に亀裂が見つかった問題で、同社の来島達夫社長は27日、JR西本社(大阪市)で記者会見し、異常に気付きながら運転を継続したことについて、車両保守担当社員がのぞみの床下の点検を列車運行を担う東京の指令員に打診したが、指令員が聞き逃していたことを明らかにした。
来島社長は運行停止に関する判断基準があいまいで、判断を指令員と保守担当が相互に依存する状況だったと述べ、危機管理上の問題を認めた。
JR西によると、車内で音やにおいなどの異変があったため、岡山駅から保守社員が乗車した。保守社員は、運行について判断する権限を持つ東京の指令員に電話で「安全をとって新大阪駅で床下(点検)をやろうか」と要請した。
しかし、指令員は隣に座る上司から報告を求められ、受話器を耳から離して聞いていなかった。一方、保守社員は指令員が点検の準備を進めると思い込んでいた。
結局、新大阪駅でJR東海側に音の異常などは伝えたものの、走行に支障がないと判断。JR東海に指令部署間の協議を申し出ずに運行を引き継いだ。JR西は、ダイヤが乱れることを恐れて床下点検をしなかったわけではないと釈明した。一方で、来島社長は「新大阪まで行かなくても止めることは可能だった」とも述べた。
来島社長は「新幹線の安全性に対する信頼を大きく損ねてしまった」と語り、改めて謝罪した。2005年のJR福知山線脱線事故の教訓が生かされていないとの指摘に関しては「謙虚に受け止める」と話した。
再発防止策として、ハード面では、複数の指令員が現場とのやりとりを同時に聞けるようシステムを変更。異常がないことを確認できない場合は、ちゅうちょなく運行を停止させることを徹底するなど対策を講じる。特定の社員の処分は行わない方針。(時事)
鉄焼ける臭い、びりびり振動 走行止めず
JR西日本の「のぞみ」の台車に亀裂が見つかった問題で、同社は27日、鉄の焼けるような臭いや「びりびり伝わる振動」を乗務員や車両保守担当社員らが気付きながらも、3時間以上も走行させた経緯を明らかにした。
のぞみは今月11日午後1時半に博多(福岡市)を出発。午後1時35~50分の間に、車掌が13号車のデッキで甲高い異音を感じた。小倉(北九州市)―広島間を走行中も車掌は同じ異音を感じたほか、7・8号車付近では乗務員が鉄の焼けたような臭いを感じていた。
車掌は異臭がする旨、東京の指令員に報告したが、列車を止める指示はなかった。指令員は岡山支所の車両保守担当の当直に車内で異臭があることを連絡し、のぞみに乗車するよう手配した。
その後も車掌は異音が大きくなっていると感じ、13号車では乗客から「臭いと、もやがある」と乗務員に連絡があった。車掌が13号車を確認すると、客室内全体がかすみ、焦げた臭いを感じ、岡山駅到着直前に指令員に状況を報告した。岡山駅から乗車した保守担当社員らは13号車の洗面所付近で、びりびりと伝わる振動を確認。異臭より音の方が気になったという。
岡山―新神戸間を走行中、指令員が電話で「走行に支障があるのか」と尋ねると、保守担当社員は「そこまではいかないと思う」と回答したことから、走行には問題ないと判断したという。
その後、保守担当社員は「安全をとって、新大阪で床下(点検)をやろうか」と指令員に報告したが、指令員は上司と話すために受話器を離し、点検の打診を聞き逃した。
その後も「のぞみ」は乗客約1000人を乗せて名古屋駅まで運転を続けた。見つかった亀裂は破断寸前で、脱線など重大な事故につながりかねない状態だった。(時事)
(2017/12/27 20:30)