[ 政治・経済 ]
(2018/1/31 15:30)
中国・ロシアは競合国
【ワシントン=時事】トランプ米大統領は30日、上下両院合同会議で、2017年1月の就任後初となる一般教書演説を行った。この中で、北朝鮮による核・ミサイル開発を阻止するため「最大限の圧力をかける」と明言。「米国を危険な状況に陥れた過去の政権の過ちは繰り返さない」と述べ、厳しい姿勢で臨む方針を明確にした。
トランプ氏は「今こそ米国新時代だ」と宣言。「我々全員が一つのチーム、国民、家族として一緒になる」と国民の団結を呼び掛けた。11月の中間選挙をにらみ、超党派で政策を推進し、社会の分断を終わらせる決意を表明した。
安全保障政策では、「北朝鮮の無謀な核・ミサイル開発は近く米本土を脅かす可能性がある」と警告。中国とロシアを「我々の国益、経済、価値に挑戦する競合国」と位置付けた。さらに、侵略を抑止するため「核戦力を近代化し再建しなければならない」と強調した。
テロ対策に関して、過激派組織「イスラム国」(IS)を「イラクとシリアの占領地からほぼ完全に駆逐した」と成果を強調。一方で「まだやるべきことは数多くある」と語り、引き続き掃討作戦を進める考えを示した。
通商政策については、17年に離脱を決めた環太平洋連携協定(TPP)などを念頭に「不公正な貿易合意をついに終わらせた」と主張。「公正で互恵的」な貿易関係を目指し「悪い貿易合意を改め、新たな交渉を進める」と宣言した。
また、17年末に実現した法人税率引き下げを柱にした税制改革が「中産階級と小規模企業に大きな恩恵をもたらした」と実績を誇示。インフラ計画をめぐっては、これまで表明していた「10年間で官民合わせて1兆ドル(約108兆円)」を上回る1兆5000億ドル(約160兆円)規模の投資を打ち出した。
移民政策では、メキシコ国境への壁建設など不法移民対策の強化とともに、合法移民に関してもくじによる永住権付与の廃止を含む改革を呼びかけた。一方、子供時代に親に連れられて不法入国した若者180万人に対し、市民権獲得に道を開くと表明。前政権が講じた救済措置を継続するよう求める民主党に配慮を示した。
(2018/1/31 15:30)