[ オピニオン ]
(2018/2/19 05:00)
観光旅客税とはいえ、日本人からも徴収する新税だけに、国内に住む人にとって役立つ使途を考えてもらいたい。
今国会の税制改正で、政府は「国際観光旅客税」と「森林環境税」という二つの新税を提案している。新たな税目の創設は20数年ぶり。関連法が成立すれば、まず国税の新税である国際観光旅客税の徴収が2019年にも始まる。
この新税は「出国税」の通称でも知られ、国籍に関係なく出国時に1人1000円を課す仕組み。政府観光局が発表した17年の出国者数推計の4657万人をベースにすれば、税収は465億円規模が見込まれる。訪日外国人客は年々増加しており、さらに上振れする公算が大である。
多くの旅行者が利用する国際空港の場合、既存の施設使用料に上乗せすることになる。ただ燃油特別付加運賃(サーチャージ)による航空券代金の増減に比べれば、過大な額とはいえない。すでに諸外国に類似制度があることを考えても新税は妥当だ。旅行業界も日本人の海外旅行や外国人の訪日需要に大きな変動はないとみている。
注目したいのは、その使途である。政府は20年の訪日外国人客4000万人の目標達成に向けた施策に充当すると説明。ストレスフリーで快適に旅行できる環境整備や日本の魅力発信、あるいは地域の固有の観光資源の開発などを例示する。また地方空港や港湾、入国管理官などの設備や人員の不足が問題になっており、今後はそうした入出国インフラの充実に財源を振り向けることも予想される。
とはいえ税収すべてが訪日客促進ではいけない。17年の推計値では出国者のうち1788万人が日本人。つまり4割弱は国民が税を負担することになる。旅行客だけでなく、居住者にも役立つサービスが望ましい。
日本旅行業協会の田川博己会長(JTB会長)は「(新税が実現すれば)政府への要望は山ほどある」と話す。日本国内を旅行する人が、国籍とは無関係に安全・便利に楽しめる事業の実現に知恵を集めてほしい。
(2018/2/19 05:00)
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