[ ICT ]
(2018/2/19 16:30)
米アップルの新本社(Apple提供)
米アップル新本社の最大の特徴は、多数のガラスが使われた巨大な宇宙船のようなリング状の構造だ。デザインにこだわり抜く同社の美的センスを示している。
カリフォルニア州クパチーノに位置し、昨年から使われ始めたこの新社屋にはしかし、一つ問題がある。社員がガラスに衝突するケースが後を絶たない点だ。
オフィスを取り巻くのは高さ45フィート(約13.7メートル)の曲線状の安全ガラスパネル。内部の「ポッド」と呼ばれる作業スペースも数多くのガラスでつくられている。アップル社員は「iPhone(アイフォーン)」の画面に気を取られていることも多く、注意散漫な状態で歩いて窓ガラスに突っ込んでしまうケースが繰り返し起きていると、内部事情に詳しい関係者は話す。
一部のスタッフはそこにあることを周囲の人に分からせようとガラスのドアにポスト・イットを貼り始めたが、建物のデザインが損なわれるとしてはがされているという。同関係者はアップルに関する話をする上では匿名を条件にしてほしいとした。事情を知る別の関係者によると、ガラスには他の印が付いていて、その存在が分かるようになっている。
アップル新社屋は建築上、驚嘆に値する構造物だと評価されている。アップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏の構想を著名建築家ノーマン・フォスター氏が形にした。ジョブズ氏は2011年、この建物を「宇宙船が着陸したかのようだ」と語っていたとされる。社屋は約1万3000人の社員を収容するように設計されている。
アップルの広報担当者はコメントを控えた。新社屋でどれだけの数の事故が起きているかは明らかでない。同社の職場の安全記録について米労働安全衛生局(OSHA)のシリコンバレー在勤広報担当に取材したところ、同局のウェブサイトを参照するように言われた。カリフォルニア州内のアップルの名称のサイトを検索したが、同社新社屋での負傷情報はなかった。(ブルームバーグ)
(2018/2/19 16:30)