[ オピニオン ]
(2018/2/26 05:00)
金融市場の動向に一喜一憂せず、働き方改革や生産性革命といった重要施策に早期に取り組むことで、新たな成長軌道を描きたい。
大企業・製造業による2017年度の想定為替レート(1ドル=110円台)を超えた円高と株価の乱高下が続いている。ただ米国景気が後退しない限り、中期的には日米経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に沿った円安・ドル高基調に戻るとみる市場関係者が少なくない。
足元の金融市場は、米国の大幅減税による景気の上振れとインフレ懸念が米金利の上昇を招き、米株価の乱高下とリスク回避の円買いが進んでいる。トランプ米政権の保護主義とドル安容認の姿勢も円高圧力を強め、日本の株価を乱高下させているのが現状だ。
本来なら、米金利が上昇して日米金利差が拡大すれば円安・ドル高になりやすい。金融緩和を継続する日銀の黒田東彦総裁が続投する方向にある一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げペースを加速する可能性を示唆し、両国の金利差はさらに拡大する可能性がある。
だが金融市場は、金利差より米国が景気後退につながるインフレへの警戒感を強めている点に反応し、米金利上昇が米株安とドル安につながっている。
米国が好調な景気を維持することは日本経済にとって歓迎すべきことだ。足元の円高基調は輸出主導企業にはマイナスだが、高止まりしている原油価格の調達コストを軽減できる利点もある。しばらくは要人発言などによって為替や株価の乱高下が続く可能性が高いものの、中期的には金融市場が落ち着きを取り戻すと期待したい。
日本にとって今、肝要なのは改革を着実に推進することだろう。しかし与党が「働き方改革国会」と形容する今国会の審議は紛糾している。
時間外労働の上限規制に反発する中小企業も納得する働き方改革を実現しつつ、18年度予算成立により生産性革命にいかに勢いをつけるか―。金融市場より視界不良な国会審議の正常化が政権に求められる。
(2018/2/26 05:00)
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