[ オピニオン ]
(2018/2/23 05:00)
再生医療の産業化に向けた動きが活発化してきた。次世代医療として期待の高い再生医療を普及するには周辺産業の強化が不可欠。産業界としても知恵を集めたい。
再生医療は、細胞から組織・臓器を加工して患者に移植する「組織再生」と、細胞を培養・分化させ患者に投与する「細胞治療」の2分野がある。
細胞を移植・投与するまでには、細胞を採取するデバイスや分離装置、凍結試薬・機器、培養装置、さらには輸送サービスなど周辺ビジネスが必要だ。これらのバリューチェーンをいかに早く構築するかが、再生医療を事業化するカギとなる。
実際、周辺ビジネスへの参入や検討が相次いでいる。例えばカネカ、ダイダン、テルモBCT(東京都新宿区)などは、共同で低コストな細胞培養処理施設を発売した。日立製作所もiPS細胞(人工多能性幹細胞)の大量自動培養装置を開発し、大日本住友製薬の研究開発を支援している。
ただ現状は力不足と言える。三菱総合研究所の調査では、国内の周辺ビジネスに参入した日本企業は、中小規模で単一事業のみの展開が多い。一方、海外企業は大規模・複数事業を展開する傾向が強い。再生医療は収益化までに時間がかかり、長期戦を勝ち抜くためには、小規模・単一事業では限界がある。
日本企業が目指すべきは、企業間連携の充実だろう。培養・加工などの自動化や品質向上に向けて、他社・他業界とも連携し、総合的に価値を提供する共創の視点が不可欠だ。企業連合の組成や関連企業への出資、M&A(合併・買収)も欠かせない。企業間のすり合わせ、組み合わせが必要になる。
経済産業省の調査では、世界の再生医療産業の市場規模は2020年に1兆円、50年に38兆円になると予測する。世界では関連の臨床試験が1000件近く実施されている。中国やタイなど新興国でも細胞治療が急速に拡大し、欧米企業も触手を伸ばす。再生医療は未来の成長産業だが、素地を築くための時間は長いようで短い。
(2018/2/23 05:00)
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