[ オピニオン ]
(2018/2/27 05:00)
山梨県が甲府市の米倉山で太陽光発電の電気で水を分解し、水素を製造する「パワー・ツー・ガス」の実証に着手した。送電線の系統安定化対策だけでなく、県内の産業振興策の切り札として期待したい。
新設する35キロワット太陽光発電の電気から、水電解装置で毎時5ノルマル立方メートル(N立方m)の水素を6月をめどに製造する。さらに東京電力と共同設置した1万キロワットメガソーラーの電気を利用して年間45万N立方mの水素を製造する計画。水電解装置は東レの電解膜を使い、日立造船が製造、2020年ごろの完成を目指している。
不安定な太陽光の電気を水素に変換すれば、変換ロスはあるものの、エネルギーを安定して保存できる。燃料としても使えるため、太陽光発電による電気の有効利用が期待できる。
山梨県は24カ所の水力発電を保有し、その収益を2000年ごろから再生可能エネルギーの拡充に振り向けた。長い日照時間を生かして米倉山に太陽光発電を設置。この電気をためる技術として超電導フライホイールに着目し、11年に鉄道総合技術研究所と提携して電気の貯蔵技術開発を始めた。近く本格導入するという。
また電気貯蔵の第2弾として県内に工場がある東京大学発ベンチャー企業のエクセルギー・パワー・システムズ(東京都文京区)と、急速充放電ができる改良型ニッケル水素電池を用い、太陽光発電の出力変動を吸収する試験を16年11月から始めた。第3弾が現在進行中のパワー・ツー・ガスである。
山梨県は水素製造を県内の産業振興に生かすことも狙っている。すでに地元のスポーツジムや大型店舗などで水素使用の了解を得た。山梨県企業局の宮崎和也課長補佐は「今後、水素需要を喚起し、燃料として水素を使う地元製造業や水素を求めて県内に進出する企業を増やしていきたい」という。
燃料電池研究で定評のある山梨大学も同県の水素関連プロジェクトに参加している。産学官連携で新しいエネルギーの時代を先導してほしい。
(2018/2/27 05:00)
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