[ 政治・経済 ]
(2018/3/6 13:30)
トランプ米大統領は5日、鉄鋼とアルミニウムに輸入関税を課す計画について、米経済に悪影響が及ぶとしてライアン下院議長が反対を表明したのに対し、同計画を撤回しないと明言した。ホワイトハウスでライアン議長の反対姿勢について問われた大統領は記者団に、「われわれが引き下がることはない」と語った。
この1時間足らず前にライアン議長は報道官を通じて声明を発表し、「われわれは貿易戦争の影響について非常に懸念しており、この計画を進めないようホワイトハウスに強く求めている」とした上で、「新しい税制改革法が景気を押し上げており、こうした恩恵を危険にさらすことはもちろん望んでいない」と述べていた。
ライアン議長はトランプ大統領の就任後、賛否が大きく分かれる問題でも大統領を支持してきたが、今回の問題では両氏の立場が相いれないことが浮き彫りとなった。
トランプ大統領は中国の貿易慣行を強く批判してきたが、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課した場合、同盟関係にある欧州連合(EU)、カナダ、メキシコが最も大きな影響を受ける可能性がある。
ホワイトハウスのサンダース大統領報道官はこの日の記者会見で、「われわれはライアン議長と極めて良い関係にあり、こうした関係を維持するつもりだが、だからといって全てのことで同意するわけではない」と発言した。
最近まで、鉄鋼とアルミニウム輸入が米国家安全保障に及ぼすリスクの調査は北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉とは別個のものだと考えられてきた。しかし、トランプ大統領は5日のツイッター投稿で、NAFTAは米国にとって「好ましくない協定」だったとあらためて述べた上で輸入関税と結び付け、「新しい公正なNAFTAで妥結した場合に限り、鉄鋼とアルミの関税は取り下げられるだろう」と指摘した。
ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表はこの日、NAFTA再交渉の第7回協議は期待したほど進展していないとした上で、新たな合意成立の時間切れが迫りつつあると語った。(ブルームバーグ)
(2018/3/6 13:30)