[ 政治・経済 ]

【電子版】中国、米に報復強化を通告 貿易制裁に対抗

(2018/3/25 07:30)

  • 中国・劉鶴副首相(20日、ブルームバーグ)

 【北京時事】中国の劉鶴副首相は24日、ムニューシン米財務長官と電話会談し、中国の知的財産権侵害をめぐる米国の貿易制裁に報復する方針を伝えた。トランプ米政権が譲歩しない限り、中国は23日発表の報復第1弾に続き、強力な対抗措置で応じる構えを見せる。世界1、2位の経済大国同士が貿易戦争を始めれば、両国との貿易規模が大きい日本に影響が及ぶのは必至だ。

 トランプ大統領は通商法301条に基づく制裁の発動を決定済み。劉副首相は電話会談でムニューシン長官に対し、「中国は既に国家の利益を守る準備ができている」と述べ、実際に発動すれば報復する考えを示した。

 この問題とは別に米政権は23日、通商拡大法232条に基づき、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置を発動。中国は米国産の豚肉などに高関税を課す報復措置を発表し、国内手続きに入った。

 先進国の通商関係者らは「301条の制裁に対する中国の報復内容が当面の焦点」と口をそろえる。中国メディアによると、率直な物言いで知られる楼継偉・元財政相は、豚肉などを標的にした報復を「軟弱」と切り捨て、「自分ならば、まず大豆、次に自動車、そして航空機だ」と語った。

 このうち、トランプ氏が血眼になっている秋の中間選挙に最も大きな打撃を与え得るのが大豆だといわれる。中国から高関税が課されて対中輸出が滞れば、米国の大豆農家は深刻な被害を受け、「反トランプ」の声が広がる可能性がある。

 ただ、中国の大豆自給率は極めて低く、米国産や南米産に大きく依存しているのが現状。「中国が米国産大豆に高関税を課せば自らの首を絞めることになる」(大豆取引業者)ともいわれる。

 習近平国家主席は今月、2期目に入った。国民の愛国心を高めて長期政権につなげるには「対米弱腰」の印象を与えられない。習主席側近の劉副首相は24日の電話会談で「双方が理性を保ち、経済関係の安定維持に努めるよう望む」と呼び掛けているが、中国側も強硬姿勢を緩めそうにない。

米のWTO提訴に反発

 【北京時事】中国の商務省幹部は24日、米国が知的財産権侵害で中国を世界貿易機関(WTO)に提訴したことを受け、「遺憾だ」と反発する談話を発表した。

 幹部は「これまで多くの措置を講じて知財権を保護してきた」と指摘。遺憾の意を表明した上で、「WTOの手続きに従って適切に処理する」と説明した。米中はまず2国間協議を行い、不調に終わればWTOに紛争処理小委員会(パネル)の設置を求めることになる。

(2018/3/25 07:30)

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