[ オピニオン ]
(2018/3/27 05:00)
「働き方改革」が目指すものは、残業削減や多様な働き方と生産性向上を両立することだ。そのカギを握るのは、古い慣習にとらわれずに阻害要因を分析し、具体的な対策をとる企業姿勢ではないか。経営者のリーダーシップが問われる。
コピー機などのトナーのリサイクルを主力事業とするケイティケイは、残業時間の削減に向けて営業担当者の直行直帰を推奨している。それだけなら他にも例があるが、同社の場合、さらに「もう一工夫」を加えた点が興味深い。社員の自宅近くに会社が駐車場を借りる制度を設けたのだ。
自宅近くから社用車を使って営業に出かければ、社員の拘束時間は最小限ですむ。結果として営業担当者と顧客との面談時間は1日平均で1時間増え、売上高や利益も伸びたという。社員のモラル維持や、ガソリン代金の公私混同など別の問題が発生する懸念はあるが、経営者が大胆にリーダーシップを発揮しなければ、こうした新たな働き方は実現しない。
政府は今国会で審議予定の働き方改革関連法案から、裁量労働制の範囲拡大を除外する作業を進めている。裁量労働制と労働時間の関係について厚生労働省の調査に不備があり、本質的な議論ができなかった。
これについて産業界は「調査データの不備はあってはならないことだが、働き方改革の議論とは分けて考えるべきだ」(榊原定征経団連会長)と主張している。当然のことだ。柔軟な働き方を模索する上で、裁量労働制は不可欠である。
ただ「経営者は、単純に残業代を減らしたいだけではないのか」という社会一般の疑問に答えるためには、産業界としても具体的にどんな方法で従業員の負担を減らすのかを提示することが望ましい。
大手企業の中には、裁量労働制の代表的な職種である研究開発職についても「従業員管理が難しい」と従来の時間管理を続けているケースがある。経営側にとって、働き方改革は“腕の見せどころ”ではないか。大いに議論してもらいたい。
(2018/3/27 05:00)
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