[ ICT ]
(2018/3/27 18:00)
データのプライバシー問題はどれほど米フェイスブックに影響するのだろうか。ユーザーの個人情報漏えいを受け、同社の時価総額は過去10日間で約900億ドル(約9兆5000億円)吹き飛んだ。
英データ分析会社ケンブリッジ・アナリティカによる5000万人分の個人データ不正利用を巡るダメージの封じ込めにフェイスブックが苦慮する中、一部の環境・社会・ガバナンス(ESG)ファンドは同社への関わりを再検討し始めた。この情報漏えいをデジタル版の有毒廃棄物の流出とみなし、ソーシャルメディア企業に対する政府監視強化の機運が高まっている。
オーストラリア最大のESG上場投資信託(ETF)の「ベータシェアーズ・グローバル・サステナビリティ・リーダーズETF」は先週、ケンブリッジ・アナリティカによるデータ不正利用などの問題を踏まえ、ファンドからフェイスブックを除外。同ファンドのフェイスブックの組み入れ比率は約3.9%だった。
スウェーデンのノルデア銀行も先週、フェイスブックをブラックリストに載せ、「システミック問題」を巡る懸念から同行のサステナブル投資部門に追加購入をさせない方針を示した。ESGにフォーカスする他の北欧投資家も保有株について見直しを進めている。
DNBアセット・マネジメントの責任投資(RI)責任者、ジャニケ・シェーレ氏は「データのセキュリティーとプライバシーはESGにとって重大なリスクだ」と電子メールで指摘し、状況を注意深く見守っていくと付け加えた。
サステナビリティ格付けを行うMSCIとロベコSAMの広報担当者は、フェイスブックの格下げを検討していることを明らかにした。フェイスブックの広報担当者ノラ・チャン氏は、会社側からのコメントはないと述べた。
ESG投資家の間では、日常的にポートフォリオから除外しているたばこや武器株などのいわゆる「あしき銘柄(sin stocks)」にフェイスブックを分類する動きも生じつつある。(ブルームバーグ)
(2018/3/27 18:00)