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[ 自動車・輸送機 ]
(2018/4/1 13:00)
フランスが「空飛ぶ鯨」で世界的なレースに挑む。貨物飛行船市場の開拓を米ロッキード・マーチンなどと競うのだ。
仏企業フライングホエールズの飛行船は全長500フィート(約152メートル)。60トンの貨物を運び上げることができ、その能力は業界をリードする。森林の上空から木材をつり上げ、運搬することが可能だ。
同社はすでに約2億ユーロ(約262億円)の資本を確保。試作機が初飛行を行う2021年の新規株式公開(IPO)を目指す。
フライングホエールズを創業したセバスチャン・ブゴン最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「多数の飛行船プロジェクトがあったが、多くが失敗している。われわれの基盤は強固だ。木材市場だけでも投資は正当化できる。先行きのリスクは小さい」と語った。
「フライングホエール」号の全長は、米ボーイングのジャンボジェット、747の2倍。同CEOは、10年間で50億ユーロの売上高を見込む。フランスと中国の工場で150機を製造する予定だ。
木材業界以外で関心を示しているのは鉄道車両製造のアルストムや石油サービスのテクニップだという。仏公的基金のBPIフランスが2500万ユーロを3月に投じたほか、中国航空工業集団(AVIC)などが資金を提供している。
フライングホエールズの一歩先を行くのがロッキード・マーチンだ。同社の「LMH-1」が顧客として主に狙うのは石油・ガス業界。2016年に最大12機、金額にして4億8000万ドル(約507億円)相当の受注があった。
ただブゴンCEOが懸念するのはむしろ、全長800フィートの飛行船が炎に包まれ36人が亡くなった1937年の惨事だ。かつて世界の空を飛び回った飛行船復活の障害になるかもしれない。
米ニュージャージー州のレークハースト海軍基地で起きた飛行船「ヒンデンブルク号」の爆発事故は「人々の記憶に強く残っている。われわれには飛行船のテクノロジーと素材がいかに進化したか、人々に伝えていく仕事がある」と話した。(ブルームバーグ)
(2018/4/1 13:00)