[ オピニオン ]
(2018/4/10 05:00)
韓国政府による自国の造船会社への偏った産業保護政策は、世界の造船市況に悪影響を与え、業界の健全な発展を妨げる。決して看過できない。
韓国政府は、造船業の前受け金返還保証(RG、リファンド・ギャランティー)発給に関するガイドラインを大幅に緩和した。日本造船工業会は「この措置が低迷している造船マーケットをさらに悪化させる」との懸念文書を韓国造船海洋プラント協会に送付。日本政府も、世界貿易機関(WTO)への提訴を検討している。
RGは、造船所の過失で建造中の船の契約解除が発生した場合、船主から受け取っていた前受金を金融機関が返済保証する制度。造船契約では一般的だ。ただ民間では手を出せないような条件で政府系金融機関が保証することは、実質的な政府支援だと問題視されている。経営が悪化した造船所の設備が温存され、赤字受注に走るからだ。
造船大手のジャパンマリンユナイテッド(JMU)の三島愼次郎特別顧問は「韓国のVLCC(超大型タンカー)の船価は極めて迷惑。この船価は健全に建造できるレベルではない。これを続けていたら皆が不幸になる」と憤りを隠さない。
国土交通省によると、過去にも同様の問題で欧州委員会が韓国を提訴しており、一部で違反判決が出ている。日本政府はこれまでも経済協力開発機構(OECD)造船部会などで、この動きをけん制してきた。
日本政府の要請に対し、韓国政府から「満足を得られる返答はない」(国交省関係者)のが現状。また韓国側の協会はガイドラインへの関与を否定し、日本側の批判に正面から向き合うつもりはない様子だ。
造船市場の世界シェア(2017年の竣工(しゅんこう)ベース)は日本20%、韓国34%、中国36%と、日中韓で90%を占める。欧米を含めたJECKU造船首脳会議の議長声明では「世界的に規律ある商業的慣行制度」を訴えた。韓国政府には、これを妨げない政策を望む。同時に日韓の二国間対話にも真摯(しんし)に向き合ってもらいたい。
(2018/4/10 05:00)
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