[ 金融・商況 ]
(2018/4/10 13:30)
9日のロンドン金属取引所(LME)のアルミニウム相場は6年強ぶりの大幅高となった。ニューヨーク市場のパラジウム相場も急伸した。米国がロシアの富豪オレグ・デリパスカ氏や同氏傘下のアルミニウム生産大手UCルサールなどを制裁対象に加えたことを受け、供給に支障が生じる恐れがあるとの懸念が台頭した。
ルサールは中国以外では最大のアルミ生産メーカーで、同社はさらにノリリスク・ニッケル株約28%を保有。ノリリスクはパラジウムやプラチナ、ニッケルなど世界有数の鉱山を幾つか操業する。ロシアは自動車触媒に使われるパラジウムの世界最大級の生産国。
ダニエル・ブリーゼマン氏らコメルツ銀行のアナリストは9日のリポートで、「金属市場の参加者が最も心配しているのは制裁によって供給に支障が生じることだ」と指摘。「米国の製缶メーカーといったアルミ加工業者や消費者のコストは急上昇する公算が大きい」との見方を示した。
LMEのアルミ相場(3カ月物)は前週末比4.8%高の1トン=2139ドルで取引を終えた。2011年11月以来の大幅上昇となる。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門のパラジウム先物6月限は前週末比4.2%高の1オンス=932.50ドルと、中心限月としては7カ月ぶりの大幅高。
TDセキュリティーズのグローバル商品戦略責任者、バート・メレク氏は電話インタビューで、ロシアのパラジウム供給が制限されるかもしれないとの懸念を背景に、トレーダーはリスクプレミアムを織り込んでいるのではないかと語った。
ルサールから定期的にアルミを購入していた5社の幹部が匿名を条件に話したところでは、国際的な取引会社は制裁を理由に同社からのアルミの買い取りを ストップしているという。
LMEではニッケルや銅、スズも上昇した一方、鉛と亜鉛は下落した。(ブルームバーグ)
(2018/4/10 13:30)