[ その他 ]
(2018/4/26 05:00)
医療事故防ぐ「一体型」
■メラ遠心血液ポンプシステム
泉工医科工業(東京都文京区)は、救急救命センターや集中治療室で使用する一時的な呼吸・心肺の補助循環装置「メラ遠心血液ポンプシステム HCS―CFP」を開発した。遠心血液ポンプを回転駆動させる装置で、血液流量・温度制御、測定といった機能を備える。
同製品は看護師や技師の操作上の安全性に配慮した仕様で、医療事故の防止に役立つ。開発にあたって「機械操作に弱い看護師や技師も使いやすいものを」と、佐藤弘人取締役生産開発本部副本部長はコンセプトを提示。その結果、遠心ポンプ、電子ブレンダー、冷温水槽を“一体型”で管理でき、小型軽量化しつつ、長時間の運用が可能な血液ポンプシステムが生まれた。
開発が始まったのは2012年。丸屋拓第一開発部開発二課課長をはじめ、社員13人前後で取り組んだ。「11年の東日本大震災を背景に、バッテリーのバックアップ機能のニーズが高まっていた」と丸屋課長。少人数でも院内外で搬送可能な小型軽量化も実現しつつ、長時間の電池駆動を可能にするシステムを求めた。
そこで、システム架台にリチウム電池、本体にニッケル水素電池を搭載し電池容量を増やして対応した。また、電流で冷却・加熱の温度制御が可能な半導体素子であるペルチェ素子に着目し、冷温水槽供給装置に採用。冷凍機とヒーターを使用した場合より小型化を実現した。
遠心ポンプにも特徴がある。同社と山根隆志産業技術総合研究所名誉リサーチャー(元神戸大大学院工学研究科教授)の共同開発品。遠心力を与え、液体を動かす羽根車であるインペラの回転数で流量を制御する。山根名誉リサーチャーは「血液凝固を抑制するポンプ設計が強みだ」と胸を張る。インペラ台座に空いた穴と裏羽根がインペラ裏側の血液凝固を抑える仕組みだ。
今後は冷温水槽の水質管理面で殺菌機能も加えることを視野に入れつつ、さらに一層の高品質化を目指していく。(茂木朝日)
(2018/4/26 05:00)
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