[ オピニオン ]
(2018/5/23 05:00)
「ちゃんとICレコーダー持ってきたか?」。この1カ月、取材先との飲み会で何度ちゃかされただろうか。前財務次官の問題は、女性記者とICレコーダー、セクハラの三つのキーワードを紐付けて世間に印象づけた感がある。
より暗い気持ちにさせるのが、ネット上での「ハニートラップ」や「危険があるのに二人で飲みに行く方が悪い」といったコメント。少なくとも周囲でハニートラップを仕掛ける女性記者など社内外とも見たことはない。
一方「危険」がゼロではないことは、多くの女性記者が認識している。営業など酒席の付き合いが多い職種の女性も同様だろう。しかし、おじけづいて酒席を断れば礼を失するし、自意識過剰との誹(そし)りを受けかねない。
男性社員なら気軽に出向き、仕事の成果を得るかもしれない、との焦りも女性を突き動かす要因の一つ。進めば危険でも降りたら負けるチキンレースだ。
男女雇用機会均等法の「職場におけるセクハラの防止措置」の職場例では事業所以外でも、取引先の事務所や、打ち合わせをするための飲食店、顧客の自宅などが挙げられている。措置の解を探すのは容易ではないが、未来を担う若い人たちにまっとうなレースの場を用意したい。
(2018/5/23 05:00)