[ 自動車・輸送機 ]

【電子版】中国で進むEV化 ガソリン車ナンバー、2年待っても取得困難に

(2018/5/27 07:00)

  • BYDの電気自動車「秦EV300」(ブルームバーグ)

 北京に住むゲーリー・チョンさんは2カ月ごとに実施されるガソリン車のナンバープレート抽選で2年間にわたり当選を狙ったが、結局当たらずウォーレン・バフェット氏が出資する BYDの電気自動車(EV)「秦EV300」を購入することにした。

 チョンさん(31)は「他に方法がなかった。ガソリン車専用のナンバープレート取得にこだわっていたら永遠に待ち続けることになっていた。私のEVは通勤にとても便利だ」と話す。

 チョンさんの例は中国によるEV化の取り組みが早くも成功していることを示している。購入者が引き続き内燃機関で走る車を圧倒的に好むのは中国でも他国でも変わらないが、アメとムチを使った中国の政策でBYDや北京汽車などの国内勢と、独BMWや米テスラら外資メーカーにとっては新たな機会が生まれている。

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)のリポートによると、ガソリン車の購入を制限している中国本土の6都市は昨年、中国のEV販売(57万9000台)の40%、世界販売の21%を占めた。北京と上海、深圳、天津、杭州、広州のEV販売は国内平均の2-4倍で増えている。

 リポートを共同執筆したBNEFの寇楠楠シニアアソシエート(北京在勤)は、「都市部での制限は中国のEV販売を効果的に押し上げている」と指摘。「中国のメーカーは広告や営業努力、政府との関係という点でこうした都市を優先する必要がある」と述べた。

 ガソリン車専用のナンバープレートを入手するには抽選で数年かかる可能性がある。北京では2カ月ごとに抽選が行われ、上海では毎月の入札で1万4000ドル(約155万円)余りのコストがかかる。一方、EVのナンバープレートは無料で、ガソリン車に比べてかなり早く取得できることが多い。

 大気汚染や渋滞緩和に向けてガソリン車を制限する都市は今後増える見通しだ。海南島は今月、ガソリン車の登録を制限することを明らかにした。BNEFによれば、南京や仏山、成都、西安などの都市もこれに追随する公算が大きい。

 EVは大気汚染対策にはなるが、交通渋滞を緩和する効果はほとんどない。このため、中国の大都市では当局が設けた上限に達した場合、EV販売は頭打ちになるとBNEFは説明する。

 北京市は今年、EV用ナンバープレートの上限を6万台分に設定。BNEFによると、今年2月時点で取得希望者は21万8000人に達している。(ブルームバーグ)

(2018/5/27 07:00)

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