[ オピニオン ]
(2018/5/29 05:00)
「北からのミサイル騒動の頃は『物騒だ』といわれ、市民の関心も薄かった」と振り返る埼玉県立大宮工業高校校長の宮原浩さん。同校のラジオ部は、高校生によるモデルロケットの競技会「ロケット甲子園」で2年連続して優勝。7月、英ファンボローで開かれる「モデルロケット国際大会」に出場する生徒たちの取り組みを見守っている。
自ら製作・運用する小型ロケットは全長約1メートル、重さ約600グラム。国際大会は生卵を載せて高度243メートルに打ち上げ、約40秒の滞空時間を経て、見事割らずに着地回収する競技だ。
戦う相手は米英仏の生徒ら。“航空先進国”と違い日本のモデルロケットを取り巻く環境は厳しい。動力に火薬を使うため規制がきつく、市街地にある校庭で実物大のロケットを打ち上げられない。
それでもシミュレーションに励み、大宮工業高は17年の仏パリ大会で準優勝に輝いた。事前打ち上げができないから、まさに一発勝負。「部員の意欲と教師たちの努力が実った」(宮原さん)。
欧州で開く国際大会は世界最大級の航空ショーの中で実施され、日本航空宇宙工業会も後押しする。モノづくりの未来を担う日本の若者が、航空宇宙界の一角で奮闘する姿は頼もしい。
(2018/5/29 05:00)