[ オピニオン ]
(2018/5/30 05:00)
一つの時代が終わりを迎える。富士フイルムが、1936年に発売した白黒フィルムの出荷を10月に終了する。デジタルカメラなどの普及で需要の低迷が続いたことから、82年の歴史に幕を下ろす。
「ネオパン」の製品名で親しまれた同社の白黒フィルム。カラー写真に比べ情報量は圧倒的に少ないが、カラーで映像を認識する人間にとって、白黒世界の非日常を体験できるのが魅力だ。
富士フイルム撤退で日本製白黒フィルムは市場から姿を消す。寂しい限りだが、デジタルカメラやスマートフォンといったデジタル機器の革新性にはかなわない。事業性を考えれば仕方のないことか。
デジタル化の流れは我々の生活や企業活動に革命を起こした。金融業界では、フィンテック(金融とITの融合)のうねりが起こっている。技術の進化は人手作業を自動化し、銀行業務を一変させる可能性を持つ。
店舗業務自動化などが柱となるが、人間は多様化する顧客ニーズを的確にくみ取るコンサル業務などに軸足を移す。超高齢化社会を控え、顧客と顔をつき合わせるアナログ的な業務は欠かせない。白黒フィルムも芸術分野などで一定需要があるはず。人間が存在する限りアナログ技術は連綿と生き続ける。
(2018/5/30 05:00)