[ その他 ]
(2018/5/31 05:00)
工場内のIoT(モノのインターネット)に関する先端技術を集めた展示会「スマートファクトリーJapan2018」(日刊工業新聞社主催)が30日、東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した。IoTやインダストリー4・0に対応した情報管理システムをはじめ、ロボットを活用した製造設備やセンサーなどの最新技術、製品が展示された。
開会式で経済産業省製造産業局担当の及川洋官房審議官は、「日本のモノづくりの課題である付加価値創出の最大化や現場力を高める上で、カギとなるのが工場などの現場データ。経営マターとして捉え、活用に取り組むべきだ」と指摘。その上で「本展示会は、こうした課題へのソリューションや活用事例を示すもので、期待している」と述べた。
製造現場のデータを活用し、生産性向上などを実現する次世代工場技術が集結した「スマートファクトリーJapan2018」。各社はIoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)、ロボットなどの最新技術を取り込み、独自の切り口で装置の故障予知や品質改善などの課題解決策を提案する。エネルギーの有効活用など工場を効率的に運営する取り組みも披露され、モノづくりを支える幅広い技術が来場者の心をとらえる。
■アマダ
アマダホールディングス(HD)はIoT技術「V―factory」を展示し、金属加工機械の状況の“見える化”を提案する。ウェブアプリケーション(応用ソフト)を利用し、タブレット端末などで生産実績や待機原因などを確認しやすくした。生産でのムダを減らせるとともに、「加工機械をフル活用できる」という。現場の課題を素早く解決することにつながりそうだ。
■ファナック
ファナックは工場用IoT基盤「フィールドシステム」で4月に発表した追加機能を披露。同基盤で集めたデータの分析結果に基づき、指令を出して機器を動かすアプリケーション(応用ソフト)や、メーカーを問わず現場のあらゆる機器のデータを集めるためのソフト「コンバーター」を開発できるようにした。また画像処理半導体(GPU)の活用を可能とし、ロボットでバラ積み部品を取り出すなどエッジでの高度な深層学習を実現した。
■ホンダ
ホンダは“水素をつくる、つかう、つながる循環型社会”をテーマに、燃料電池自動車(FCV)と、スマート水素ステーション(SHS)、可搬型外部給電器「パワーエクスポーター」を出展。水素ステーションは縦横寸法が2―3メートル前後とコンパクトサイズで、低騒音のため商業地域や住宅地域にも設置できる。現在の設置数は17カ所。FCVは電気自動車(EV)より水素充填時間が短い利点があり、ステーション設置を増やして普及につなげたい考えだ。
■ソディック
ソディックは放電加工機「AG40LP」を出展するとともに、電極を自動的に取り換えることで省力化することをアピールした。生産現場では加工に応じて電極を換えることが必要なうえ、加工に長時間かかることも少なくない。そのため生産性に課題を抱える来場者の関心を集めた。また20年以上の実績を積み重ねたリニアモーター駆動を生かした、高速で高性能な放電加工機により、精密な形彫りのニーズに対応する。
■IHI回転機械エンジニアリング
IHI回転機械エンジニアリング(東京都江東区)は、温水と冷却水の温度差を利用してタービンを回す「小型バイナリー発電装置」を提案する。100度C未満の熱エネルギーで沸点の低い媒体を蒸発させ、その蒸気でタービンを回す。排水や温泉などを活用するため、環境負荷を低減しながら電気を生み出せる。最大20キロワットの発電が可能。同装置にはIoT技術を内蔵するため、集中管理もできる。5年間で約50台を売り上げている。
■ミツイワ
ミツイワ(東京都渋谷区)とバイナス(愛知県稲沢市)、東京センチュリーは共同で、産業用ロボットの技術者育成システム「Robo―Trainer」を出展。実習装置、専用テキスト、講習を合わせて提供し、プログラミングなどのロボットの操作方法だけでなく、周辺装置を含めたロボットシステムの基礎知識も習得できる。月額制のレンタルでの提供を予定し、初期投資を抑えた教育や短期での試し利用など用途に合わせて活用できる。
■テクノツリー
テクノツリー(兵庫県明石市)は工場の“見える化”を支援するため、情報通信技術(ICT)ソリューションの商品を紹介。紙帳票をタブレットの電子帳票に変換できる「エクシーゲート」を起点に、このデータと工場内のプログラマブルコントローラー(PLC)情報を連携する「エクシーゲートPLC」や「ハイパーモニター」を展示した。ハイパーモニターはエクセルと同じ操作で工場のラインなどのイメージを簡単に作成できる。稼働状況や人の動きの把握が容易。海外工場の引き合いも増えた。
■昭和飛行機工業
昭和飛行機工業は、無人搬送車(AGV)用の非接触給電システムを展示。AGVは自動車などの工場内で広く普及しているが、充電のたびに運転を止めなければならないのが欠点。展示した給電システムは、電磁誘導の原理で自動給電するため、AGVの走行距離や運用時間が延び、24時間稼働が可能。既存のAGVにも簡単に追加できる。累計販売台数は1000台強だが、利点の認知度が高まってから引き合いが急増しており、「AGVの更新期にもあたっており、売り込みたい」。
■シンフォニアテクノロジー
シンフォニアテクノロジーはホクコン(福井市)と共同で、オゾンの溶解技術を利用した工業排水処理システムを開発した。オゾンの脱臭や殺菌などの特性を利用し、高圧力の容器内でオゾンと排水を接触反応させる。工場で使う切削油の処理や、地下水の揮発性有機化合物(VOC)対策に有効。製造業では排水処理が欠かせず、新型の処理システムのニーズが見込める。オゾンの強みを訴求しながら受注を目指す。
■ifm efector
(2018/5/31 05:00)