[ オピニオン ]
(2018/5/31 05:00)
未来社会構想「ソサエティー5・0」の実現をはじめ、産業界の変革を力強く導いてもらいたい。
経団連は31日の定時総会で、中西宏明日立製作所会長を会長とする新体制を発足する。日本を代表する企業のトップであると同時に、巨額赤字に転落した日立を積極的な事業再編によって立て直した手腕は、産業界のリーダーとしてふさわしい。
同日退任する榊原定征会長(東レ相談役)は2期4年間の任期中、一貫して安倍晋三政権と緊密な関係を結び、経済政策「アベノミクス」に協力し、法人実効税率の引き下げなど大きな成果を上げた。産業界の最大の願いであるデフレ脱却にはいま一歩、及ばなかったものの、失業率の改善、株価回復など日本経済の再興に寄与したことは特筆される。
こうした経済環境を引き継ぐ中西経団連に求められるのは、変革の加速だ。大手企業の決算は総じて好調。日立をはじめ、深刻な業績悪化に苦しめられたエレクトロニクス業界の大手も復調が目立つようになった。米トランプ政権による自動車関税など不透明な要因もあるが、産業界は全般に「適温経済」の安心感に浸っている。
ただ中国やインドなど新興国経済の影響力は日々に強まっており、先進国間でも第四次産業革命の競争が激化している。ICTを活用した社会構造の改革は待ったなしであり、産業界にはその先導役が期待される。
中西会長は日立では「ソーシャルイノベーション」への事業転換で成果を上げ、榊原経団連では「ソサエティー5・0」を主導してきた。どちらも概念そのものを中西氏が提唱し、明確なビジョンを着実に推進してきたことに特徴がある。
それは単なる将来予測ではない。中西会長は「景気見通しなんて当たらない。どんな変化にも対応するのが企業経営だ」とよく話す。柔軟性と積極性の両面で社会課題に立ち向かい、解決することが現代の企業のあるべき姿だということだろう。財界首脳という新たな立場から、高い見識を示してほしい。
(2018/5/31 05:00)
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