[ ICT ]
(2018/6/13 11:30)
米通信事業者AT&Tによる850億ドル(約9兆3900億円)でのメディア企業タイム・ワーナー(TW)買収計画について、米連邦地裁判事は12日、買収差し止めを求めた米司法省の訴えを退けた。AT&Tは、この買収がネットフリックスやアマゾン・ドット・コムと競合し得る巨大なメディア・娯楽企業への進化を後押しするとしており、今回の裁判所判断で実現に近づいた。
ワシントンの連邦地裁のリチャード・レオン判事は、両社の統合が有料テレビの料金引き上げにつながると司法省側が立証できなかったと説明。買収を認める上で条件は付けなかった。
12日の米株式市場の通常取引終了後の時間外取引で、タイム・ワーナーの株価は一時5.8%上昇。AT&Tは3.9%安となる場面があった。
買収合意から約2年たち、AT&Tはようやく手続きの完了に近づいた。AT&Tは買収完了後、自社の1億1900万人に上るモバイルやインターネット、動画サービス顧客がタイム・ワーナーのHBOやCNNの番組を視聴できるようにする計画。
AT&Tの代理人、ダニエル・ペトロセリ弁護士は、「裁判を通じて証拠は極めて明白だったとわれわれは考えている。裁判所が同じ考えだったことに非常に満足している」と述べた。同社は 発表資料で、今月20日ないしそれより前に買収を完了する計画だと明らかにした。
司法省は今回の決定について、6日以内にレオン判事に対し効力の停止を求める仮処分の申し立てを行うことが可能だが、同判事は司法省が「良い判断力と知恵、勇気」を用いてそうしないことを希望すると述べ、上訴を望むなら今回の判断の実体的事項に関してするよう促した。
米司法省反トラスト局の デルラヒム局長は、判事の判断に失望しており、政府の次のステップを検討すると述べた。(ブルームバーグ)
(2018/6/13 11:30)