[ オピニオン ]

産業春秋/経営者の「やってみせ」る姿勢

(2018/6/28 05:00)

3月期決算企業の株主総会の開催は今日がピーク。総会後に社長が交代する企業も少なくない。いつの時代も、企業規模や業種を超え経営者の責務となるのは、企業文化の醸成とそれに不可欠な人材育成だろう。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」。連合艦隊司令長官・山本五十六の有名な言葉だ。リーダーたる者、まず「やってみせ」、自ら汗をかくことで信頼が生まれる。

東京電力グループ傘下のテプコカスタマーサービス(東京都江東区)社長の長崎桃子さんはフットワークが軽く、業界でも「東電らしからぬ人材」と評判だ。「まず、先頭に立ってやってみせる」。仕事のモットーは五十六の言葉と重なる。

社内のカイゼン活動にはストップウオッチ片手に、率先して取り組む。東電でマーケティングを担当していた頃は一般家庭に飛び込み営業し、消費者の反応を肌で確かめたことも。「やってみせ」ることで社内の意識改革を進める。

組織や企業文化は一朝一夕に変わらないとはよく聞くが、本当だろうか。経営トップを外部から招聘(しょうへい)した日産自動車やシャープは社風を数年で一変させた。経営者がどこまで「やってみせ」るのか。社員は冷静にみている。

(2018/6/28 05:00)

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