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[ 商社・流通・サービス ]
(2018/7/9 11:30)
トランプ政権の対中追加関税発動を受け、中国が直ちに発表した対米報復関税は、ちょうどカリフォルニアから上海税関を通じて食肉を輸入しようとしていた中国の大手食肉輸入業者を直撃した。蘇州華東食品は極めて高コストの米国産ステーキを何とかしてさばかなければならなくなった。
同社のゼネラルマネジャーによると、新たな関税導入前に税関を通過できたのは冷凍の牛プライムリブや豚ロースなどを積んだ3個のコンテナだけで、残る6個には1個当たり最大50万元(約830万円)の関税が課された。
ゼネラルマネジャーはインタビューで、「われわれにはほかの選択肢がない。われわれはコストを負担せざるを得ない」とした上で、「米牧場からの食肉購入を大幅に減らすことは確実だ」と語った。
中国は米国への報復措置として、米国からの大豆と食肉、自動車、ウイスキーなどの輸入に25%の追加関税を課した。米ウォルマート傘下の会員制スーパー「サムズクラブ」に卸している蘇州華東食品は最初に打撃を受けた企業の1社にすぎない。
各社が米中貿易摩擦を乗り切れるかどうかは、追加関税導入前に蓄積した在庫量も影響する。しかし在庫が底を突けば、追加関税分を自社で負担するか、顧客に転嫁するか、選択を迫られる。
フォード・モーターとテスラは数週間前に中国国内での値下げを発表したばかりだった。中国が7月1日から輸入乗用車への関税を従来の25%から15%に引き下げると5月に発表したためだ。しかし、今回の追加関税により、米国で製造された「リンカーン」と「モデル3」には40%関税が課されることとなった。また米メーカー以外でも、BMWやダイムラーは米国で組み立てられた高級車を中国に輸入することからコスト増に直面する。
米中ビジネス評議会(USCBC)の中国業務担当バイスプレジデント、ジェイコブ・パーカー氏は、「現段階で最大の影響は恐らく心理面で不安となったことだろう。既に影響は表れている」と指摘。「企業は不安を嫌う。不安を感じれば投資や雇用を控えるからだ。企業はこの問題がどのぐらい大きくなるか、最終的にどうなるか分からない」と説明した。(ブルームバーグ)
(2018/7/9 11:30)