[ ICT ]
(2018/7/23 12:30)
米グーグルではエンジニアらで構成する社内の小規模なグループが2年以上前から、最終的にモバイル端末用基本ソフト(OS)「アンドロイド」の後継版となりそうなソフトウエア開発にひっそりと取り組んできた。チームは陣容を拡大するにつれ、新たなソフトをどう機能させるかについて社内の激しい議論を突破する必要が出てくるだろう。
「Fuchsia」と呼ばれるこのプロジェクトは個人用デバイスなどが増える中でアンドロイドの限界を克服するためゼロから立ち上げられた。音声対話や頻繁なセキュリティー機能更新を向上させるとともに、ノート型パソコンから小型のネット接続センサーまでさまざまなデバイスで似たような設計を目指している。グーグルのサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は人工知能(AI)があらゆる分野で消費者に普及することを同社の目標に設定しているが、同社の主力OSはそれに追いついていない。
事情に詳しい複数の関係者によれば、このチームのメンバーはスマートフォン「ピクセル」やスマートスピーカーなど同社のあらゆる自前の機器のほか、第三者が開発しアンドロイドや「クロームOS」に基づくデバイスを動かす単一のOSを開発する計画を検討している。
関係者の1人によれば、複数のエンジニアは音声制御スピーカーなど接続された家庭用機器に3年以内にFuchsiaを搭載し、その後にノート型パソコンなど大きめの機器に組み込みたい考えを示している。複数の関係者が匿名を条件に語ったところでは、チームは最終的に新しいシステムをアンドロイドと置き換える意向。今後5年間での実現を目指していると、関係者1人は語った。
しかしながら、ピチャイCEOに加えアンドロイドとクローム責任者のヒロシ・ロックハイマー氏はFuchsiaの工程表にまだ署名していないと複数の関係者は話している。アンドロイドは多くのハードウエア提携先や開発者のほか多額のモバイル広告を支えているため、同OSの見直し計画に関して両幹部は慎重に動かざるを得ない。アンドロイドは当局の精査や法廷闘争の対象にもなっており、同OSに何らかの変更を加えた場合に厳重に監視されることにつながる。(ブルームバーグ)
(2018/7/23 12:30)