[ オピニオン ]
(2018/8/3 05:00)
殺人的な猛暑が日本列島を襲う中、今年も甲子園球場を舞台に全国高校野球選手権大会が始まる。連投で肩を酷使するピッチャーや炎天下のグラウンドを転がる白球を追う選手を、生徒は灼熱(しゃくねつ)のスタンドで声をからして応援。大人は冷房が効いた部屋で「これこそが青春!」とテレビ観戦を決め込む。
この伝統行事も「第100回記念大会」を節目に様変わりする。主催者は、応援の生徒にもスポーツドリンクを用意。観客にも「熱中症にご注意を」と水分補給を呼びかける。
1970年代に高校生だった世代にとって「水を飲むな。体が弱る」が常識。このため、バッテリーは「ロード」と称して練習を抜け出し、公園の水道管で『鉄管ビール』を隠れて飲んだものだ。野手は校庭を飛び出したボールを追うふりをし、田んぼの水路に顔を突っ込んだ。
軍隊経験がある当時の親や監督は、行軍の際に水を飲むのを禁じられた。精神論ばかりでなく、実際に異国の地で水を飲めば赤痢に感染する危険があった、と聞いた。
今では笑い話だが、野球部員は「肩が冷える」との理由で水泳の授業も免除されていた。今ではトレーニングの一環だ。「常識を疑え」―。かの天才・アインシュタインの名言でもある。
(2018/8/3 05:00)